第14話

ずっと食べたいと思っていた、このお店の料理は・・・申し訳ないけど全く味がしなかった。何か話すと涙が溢れそうになるので、ただひたすらに無言でコース料理を食べきった






私のそんな態度に怒るわけでもなく、凪砂もまた一言も話さずに黙々と料理を食べていた






メインのお肉料理を食べたあと、そろそろ先程の話の続きをしようかと、私が凪砂に向き合った時だった







店内の照明が薄暗く落とされ、明るいバースデーソングが店中に響き渡る






なんとなく嫌な予感がして周囲を見渡すように目を泳がせると、バチバチと火花を散らしている花火が刺さったケーキを持ってこちらに向かって歩いてくるスタッフの姿を捉えた






「お誕生日おめでとうございます!」




今の私の心境とは全く違って、満面の笑みを私に向けてケーキを差し出してきたスタッフの男性。




彼の拍手に続き、その場に居合わせた他のお客さんたちもパラパラと手を叩き始めた







「萩花、誕生日おめでとう。」







そう言って私に細長い箱を差し出した凪砂は、いつもの仏頂面を少し崩し、心做しか笑みを浮かべているような気がする






そのままにするのも気が引けて、軽く頭を下げてから差し出された箱を手に取る。






「それ、今までの礼・・・開けてみろ」






【 誕生日プレゼント⠀】そう言わないことに、何か意味があるのだろうか?







とはいえ、凪砂からもらえるものなら何でも嬉しい私は、言われるがままに静かに開封していく。






包装紙を剥がして目に映ったのは、有名なブランドの箱だった。箱だけでもオシャレなのに、中にはトップ部分にダイヤがついてる綺麗なネックレスが入っていた。

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