第11話

それから会う度に、何気ない会話の狭間に突然【⠀好きだよ 】っと伝える私に、凪砂は困ったように笑って【 ごめん⠀】と一言返すというやり取りが定着した。






それでもめげずに、別れ際には顔面に笑顔を貼り付けて、、





『好きだよ、凪砂・・・行ってらっしゃい!』







よくドラマなどで見る敬礼のポーズをしながら、毎回元気いっぱいで送り出した。自分でもバカっぽいと思うし恥ずかしいけど・・・凪砂がふとした時にそんな私の姿を思い出してくれたら、、なんてあざとい理由から始めた行動だった。







本当は【⠀またね 】や【⠀バイバイ 】って言葉を口にするのが怖かっただけかもしれない。






それでも、、






「ー・・・あぁ、行ってくる」





そう言って少し笑ってから、私に背を向けて走って去っていく凪砂を見ていると、これでいいんだと毎回思えた。

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