第7話

そう思ってしまうほどに、私たちが一緒に過ごした時間はあまりに少なかった。付き合って二年と言っても、実際に会った回数は両手で収まるほどしかないかもしれない。






「萩花、お前30歳になるまでに結婚したいってずっと言ってだろ?それ、叶えてやれそうにねぇから・・・だから今日別れを告げるつもりだった。」






ーー・・・あぁ、そういうことか。






つまり二年かけても凪砂の中で結局私は・・・"一番"にはなれなかったって、そういうことなんだ







優香ゆうかのことを忘れられないから、私とは一緒になれない・・・そういうことでしょ?』







ーー・・・帆波ほなみ 優香ゆうか






彼女は凪砂の元恋人で、私もよく知る人物だった。凪砂は今でも優香のことを忘れられずにいるんだ。








「いや、優香のことはまた別の問題だ。俺はお前との関係の話をしてる。」






別問題?ってことは少なからず、頭のどこかでまだ優香のことを考えてるってことでしょ?!






「今俺と別れればあと一年あるだろ。その間に好きなやつ見つけて結婚すれば、30歳までに嫁げるだろうが。だから別れてやるんだよ、優香は関係ない」







『いや、あのさっ!何か勘違いしてないっ?!私は誰でもいいから結婚したい訳じゃないよっ?!凪砂だからっ・・・凪砂が好きだから、結婚したいんだよっ?!別に30歳で結婚出来なくてもいいっ・・・40歳でも50歳でも待つから・・・だからっ』







ーー・・・別れるなんて言わないでっ







そう続くはずだった私の言葉は、凪砂の携帯の着信音によって遮られた

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