第43話

「...じゃ、俺行くから」




突然聞こえてきた声が吉野のものだと気付くまで少し時間がかかった




『っあ、待って!これ、吉野の...』



「羽織ってろ...血、滲んでる」




ガバッと頭の上から取って、返そうとした吉野のカーディガン




それを握り締めたまま、自分の姿を見つめ直す






『っこ、これは...』




制服のブラウスには、唇から落ちた血が滲んで、とんでもないことになっていた




「クソ陽斗のこと考えて...んな傷作ってる暇あんなら、見返してやる方法でも考えろ、バカ女」




吉野はそう言って、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でると、





「周りのヤツがお前と陽斗のことを何て言おうが興味ねぇ...少なくとも俺は、、、何も見てねぇ」




それだけ言って、少しだけ口角をあげると、、





そのままあたしから離れていってしまった

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