第30話

「っえ、何か迷うことある?!誰にも知られたくないんでしょ?訳ありで、偽彼女してるんでしょ?だったら、俺の取引に応じるべきじゃない?」



このバカ男のアホな話し方にイラッとしながらも、確かにこいつの言う事をとりあえず聞くしかないのかもしれない






『…っで?取引ってなんなの?』




「ふふっ、ヤリたい!俺、紗綾ちゃんとヤリたい!」






ーーーー…殴ってもいいかな?






『却下。頭悪いんじゃない?言いたかったら勝手に言えばいいよ。きっと誰もあんたの言うことなんて信用しないし』




そうだ、このバカ男が言いふらしたところで…





あたしと斗真が嘘を突き通せばいいだけのことだ





足首の痛みも和らいで来たし、いい加減教室に戻ろうと、立ち上がろうと試みる





「ねぇ、そんなデカい態度とっていいの?いま、有利な立場に居るの俺だよ?もう1度聞くけど...俺と取引しない?」





ーーー...やっぱり、立てない




神崎の存在を完全に無視して、無かったことにしたあたし






それを応えと悟った神崎陽斗はーーー...

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