第44話
「…分かりました、新次郎とお留守番してます」
「ん…じゃあ行ってくる」
今度こそ私から離れて行ってしまった仁睦さん。彼を兄の姿と重ねるようなことはしないが何処か兄の面影を感じさせる雰囲気に、とても胸を締め付けられる。
「……にぃに、」
あぁ…今日はきっと眠れそうにない。
紗弓にもらったアロマキャンドルの火がユラユラと揺れるのを見ながら、夜が更けるまで思い出に浸ろ…う。
──…って、
「アロマキャンドルっ!!!」
バタバタと畳の上を走って、先程仁睦さんに差し出された段ボールをひっくり返して中身を確認する。
いつも使ってるショルダーバッグ、大学に通う時に使用していたトートバッグ、ベッドサイドに置いたままだったと思われるスケジュール帳
「……ないっ、」
アロマキャンドルが火災に巻き込まれたとなると、一時的に周囲はいい香りがしただろうな…
ふぅ、っとため息を吐いたとき…すぐ側で人の気配を感じて顔を上げると、冷たい目で私を見下ろす新次郎の姿があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます