Thought world

@salmon_blue

第1話

1


私は誰にも揺るがすことの出来ないくらいの意思をもってここに立っていた。


毅然たる意思を持たなければ、こんな場所に来れるはずがない。


ここはそういう場所だった。


この誰も見たことのない様な景色を形容しようとするならば、まさにファンタジーになりきれなかった世界だった。


空のように見えるものには、虹色に揺らめく金属的な輝きを放ったオーロラがひっきりなしに浮かび、地に生える植物の様なものは、水中の海草のように揺れ蠢く。


風のせいではなく、それ自身が意思をもって蠢いているようだった。


遠くに山が見える。


その山も記憶にある日常の山とは違った。


地面が隆起してなったという感じではない。その形状はドーム型。


表面をペールカラーの草のようなものが埋め尽くしていた。


左足を軸に体を180度回転させて、周りをぐるりと見渡しても人気はない。


普通に生活している限りは見たこともない、見ることの出来ない景色だった。


ーこれが、私の思想世界。


私の思想の限界を、見た。


どうして私がこんな所に立っているのか。


思想世界とはなんなのか。


ここに至るまでを語るには、少しばかりの時間が必要だ。


始まりは三ヶ月前まで遡る。

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