とある学校であった怖い話

鈴ケ谷 慎吾

高校の怖い話

 ある日の部活終わりの事だ。

 家庭科部だった俺は部室棟にケーキの型を戻しに行ったんだ。


 そこから調理室に戻る途中の出来事だった。

 確か会話はこんな流れだったはず


「なぁ近藤?屋上に続く階段上の光ってるアレ、なんだと思う?」


「あぁ、あれか?確かに妙にいっぱいいるな・・・若干オーブっぽい?」


「いやオーブだったら胸熱展開だけどオーブだったらもっと淡く光るんじゃないか?」


「だったら蛍とか?www」


「こんな水気もない旧校舎を改造した部室棟の何処に蛍が生きてられるスペースがあるんだよwwwそれに蛍ならもっとハッキリ光るっつーの」


「んじゃマジで何なんだろうな?」


「何でも良いだろ、きれいなんだしちょっとサボって見てこうぜ~」


 そこから少しの間家庭科部の煽り男児二人組で不思議な光の神秘を見ていたが、一応未だに部活中の身だった為階段を下り出した。


「なぁ、結局のところありゃ何なんだ?蛾とかかね?」


 近藤が立ち入り禁止のロープを超えて、窓から身を乗り出そうとする・・・がどうにも悪寒が拭えない。

 どうにか他の場所から見れないかと周囲を見渡すと、1つ下の踊り場の窓が開いているのが目に入った。


「おっ、あそこからならワンチャン近くで見れるんじゃないか?」


「そうだな近藤、せっかくだから俺が先陣を務めるぜ」


 この一言を後悔したことはないね


 窓から身を乗り出して上のほうを見たんだ。でもそっから言葉を失ったよ。


 蛾とも蛍ともとれる生物まではよかったんだが問題はそうにいたアイツ一言で言うなら。そんな化け物が上の窓でひたすら発光体を揺らしてたってわけだ。もしあの時1つ下の窓からじゃなくて屋上に続く踊り場の窓から体を出していたらと思うと背筋がぞっとした。


「おい・・・どうした?」

 俺が黙っていたのが気になったであろう近藤が声をかけてくる。


「見てみろ、でも声は出すなよ


「あ、あぁ分かったよ」


 となりの窓から身を出した近藤が息を吞むのが手に取るように分かる。むしろ叫ばなかった俺たちはホラー耐性の高さに救われた形だ。


 2人で窓から身を引っ込め家庭科室まであわてて帰っていった。


 つまりうちの学校の部室棟には、バケモノが手ぐすね引いて獲物を待ってるって訳だ。


 今日この話を後輩にしたら「確かめてきます!」と言って学校にとどまってしまった。


 一応屋上に続く階段の窓から身を出すのだけは絶対にやめておけと言い含めておいたから何事もないと良いが・・・


 まぁとりあえず危機を教えてくれた守護霊様に感謝を伝えようかね。

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