ツンデレ社長は落としたい
瑞口 眞央
迂回
第1話
いつもなら渋滞することなどない場所で、突然流れの止まった高速道路の前方遠くを、東堂
総合商社ライズの専務という立場からか、年齢の割には落ち着いていて実際よりは上に見られることが多い彼は、この不測の事態に毒づくこともなく相も変らぬ無表情さを崩さない。
一向に車列の動きそうにない気配に、運転席の藤澤
スマートフォンで道路交通情報を検索する。
「事故のようですね」
煌佑のやや小さな虹彩の目は独特の謎めいた印象を与え、そうでなくても感情を表に出さないようにと心がけている彼の近寄りがたさに拍車をかけている。
その美しい横顔に向かって悠汯は検索結果を告げた。
「そうか」
今日一日ハードなスケジュールをこなしてきて、さっさと帰宅したいところではあるがこればかりはどうしようもない。
陽が落ちて次第に空は明るさを失っていく。悠汯はスモールだけを灯して車列の動きを待った。
「次のインターで
ちらりと視線を悠汯に向けて、煌佑は言った。
「はい」
どちらかというとシャープな印象に寄っている悠汯の、端正な顔立ちの切れ長の目が煌佑の視線を受け止め、短く答えた。
しばらくすると遥か前方で、テールライトの赤い色が明るさを変化させ始めた。遅々とした移動が起こる。
悠汯は再びブレーキを踏み、シフトレバーをドライブに入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます