第7話

「外で飲むの久しぶりだね〜」



駅の近くにある行きつけの居酒屋で乾杯する



「はい、指導担当に乾杯〜!」



「えっ、もう知ってるの?」



「総務課だから通達降りてくるのよ」




私が憂鬱そうな顔をしていると、愛未はビールを飲み干して言う



「出世して指導担当にまでなって、みんな羨ましがってるよ〜」



「指導担当が羨ましいとか思う人いるの?」



何が羨ましいんだろ……



面倒だし何のメリットもないよ



仕事が増えるだけじゃん




「年下の男の子とか可愛いじゃん」



「それ愛未が年下好きなだけでしょ」



私は愛未が羨ましがっている理由を聞いて笑ってしまう



愛未は年下好きだからな……




「たしかに!憂佳には涼真がいるしね」



「特に年下には興味ないな〜」



私は昔から年上が好き



涼真は同い年だけど大人っぽいと思う



年下は頼りにくいし子供っぽいから苦手だ




「そういえば、最近涼真とどうなの?」



「忙しくてあまり会ってない」



「そうか、仕事ばっかしてたら愛想つかされるよ」




たしかにそれは分かっている



でも今は恋愛よりも仕事が大事



だからかな……



あまり涼真と上手くいってないのは




「愛未はどうなの?」



ずっと彼氏のいない愛未



良い人が出来てもなかなか上手くいかない



4年前に別れた大学の後輩をまだ引きずっているみたい



いつも酔っ払うとその人の話ばかりする



でも、最近は話題に出てなかったな……




「実は元彼がうちの会社に転職してきたの」



「え?!そうなの?」



私は驚いて思わず大きな声が出る



そんな偶然あるんだ……




「名簿見たら名前があって、同姓同名かと思ったんだけど確認したら本人だった」



「営業三課に研修だから隣だね」




営業三課に来るんだ……



愛未が付き合っていた時に何回か会ったことがあるから面識がある



名前は……松山くんだっけかな




愛未が前に進めない原因ならはっきりさせられると良いんだけど……



私達はいろんな話をしながら遅くまで飲み続けた

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