第41話

部屋に入るとすぐに翔汰が追いかけて来た



鍵をかけたドアをドンドン叩いてくる



「えれな、開けろよ」



私は翔汰の顔を見たくなくて無視する




すると、



……ガチャッ



ドアが開いて翔汰が入ってきた




「馬鹿だな、この鍵爪で簡単に開くだろ」



そうだ、鍵なんて普段かけないから忘れてた



私は翔汰に背を向けてベッドに座る




「今日は悪かった」



「もう付き合うフリ止めるから機嫌直せよ」



機嫌直す訳ないじゃん



あんな恥ずかしい想いをして傷付けられて




無視していると、翔汰は私の隣に座ってくる



「無視すんなよ、幼なじみだろ?」



幼なじみ………



もう幼なじみなんてこりごりだよ




私は我慢の限界で、



「私は幼なじみなんか嫌なの!」



思わず大声でそう言ってしまった



また翔汰のことを困らせてしまう




すると、翔汰は驚いた顔をする



「大声出すなよ」



「俺邪魔しちゃったか?あの先輩と付き合うんだろ?」



的の外れた言葉に何も言えない



そういう意味じゃないのに




「そうか、じゃあ応援するよ」



「先輩嫉妬するだろうし学校ではあまり話さないようにするから」



翔汰が勝手に話を進めて行く




「そうじゃない……」



「隠さなくていいよ、お似合いじゃん」



私が否定しても話を聞いてくれない




「翔汰は市川さんと何でキスしてたの?」



思い切って聞いてみると、



「告白されてキスされただけ」



「一応断ったけど」



あっさりそう言った



翔汰にとってキスなんて大したことないんだ



じゃあ、何で私にはしなかったの



私は思い出して涙が出てくる

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