第35話

昼休み、お弁当を食べながら結菜に朝のことを報告する



「早速、断っちゃったのか……」



「そりゃそうだよ、私の気持ち知ってるでしょ」



残念そうな顔をする結菜



大地を推してくる理由は分かるけど……



「で、翔汰くんとは話せたの?」



「まだだけど、はっきり言うつもり」




そんな話をしていると、



「三浦さん、ちょっといい?」



市川さんが話しかけて来た



なんだか険しい顔をしている




「朝、宮田くんと手繋いでなかった?」



「速水くんか宮田くんかはっきりしたら?!」



市川さんは声を荒げて私を責める



こんな取り乱した姿初めて見た



朝、手を引かれていただけなんだけどな……




「市川って怒ると怖いな」



「でも、三浦が悪いんじゃん?」



周りの男子が面白そうに見ている




「ちょっと……」



何も言えない私の代わりに結菜が口を開くと、



「お前には関係ないだろ」



いつの間にか教室にいた大地が市川さんに向かって言った




「宮田くんもはっきりさせたいんじゃないの?三浦さんのこと好きなんでしょ」



市川さんが言い返すと、大地は冷静に答える



「好きだよ?」



「でも俺の片想いで、今日の朝は勝手に手を引いただけ」




教室にいるみんなが聞いている中で堂々としている



ちょっと恥ずかしい



でも、私をかばってくれて嬉しかった




「もう、なんなの……」



市川さんは大地の言葉に圧倒されて、自分の席に戻っていった




「大地、ありがとうね」



「お前は何も気にすんなよ」



大地はそう言うと、



「三浦を好きなのはみんな知ってたけどな」



「早くバスケしに行くぞ!」



クラスの男子にからかわれながら教室を出て行った





「本当良い奴だね」



「うん………」



私は大地のおかげで少し気持ちが軽くなった



でも、私が悪いんだ



市川さんに責められても仕方ないと思う

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