揺れる想い

第29話

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部活が終わって着替えを済ませると、もう男バスの部室は明かりが消えていた



バレー部は練習終わったのかな……



“玄関で待ってて”



私はとりあえず翔汰にラインをしてから急いで教室へ向かう





「大地、お待たせ~」



大地は自分の席に座って待っていた



「おう、帰りにごめんな」



私も自分の席に座る




なんだか改まって二人になると緊張するな




「えれな、本当に速水と付き合ってんの?」



大地はいつもと違って真面目に聞いてきた



何でそんなこと聞くんだろう



私は嘘をつくのが下手で動揺してしまう



でも、ちゃんと付き合ってるフリしなきゃ……





「本当だよ」



私が答えると、



「ちゃんと目を見て言えよ」



大地は少し怒った顔で私の目を見つめる




「………」



………言えない



本当なら良いけど本当じゃない………



そんな想いが込み上げて来た



私は泣きそうになって涙をこらえる





すると、大地が私の手を握って言った



「俺、お前の辛い顔見たくない」



「嘘だってことくらい分かる、ずっと見てたから」



ずっと見てたって……



大地が私を?



頭が混乱してしまう





「えれなは速水のことがまだ好きなんだな」



「まだ好きって………?」



大地とは仲が良いけど、翔汰の話をしたことはなかった



「俺、中1の時映画館で二人に会ってるよ」



「その時、速水が好きだって知った……」



そういえばあの時、他のクラスの男子もいた



その中に大地がいたなんて知らなかった





「こっち向いて」



大地は私に向かって真剣な顔で言ってくる




「俺と付き合って」



え……?



私は突然の告白に驚かされた

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