第27話

教室に戻ってお弁当を食べる



結菜にコロッケパンをあげると喜びながら、



「あ、涼介さんには内緒だよ」



お兄ちゃんに言わないように念を押してくる



「言うわけないじゃん!それより、さっきは良い感じだったね」



「涼介さん、優しくてカッコ良すぎ♡」



結菜はお兄ちゃんにメロメロだな……




「あ、そういえば市川さんって翔汰くんと仲良いの?」



「いや……市川さんが翔汰のこと好きみたいで……」



私が小さい声で打ち明けると、結菜は驚いた顔をする




「………マジ?市川さんって魔性の女っぽいから気をつけなきゃね」



「私、市川さんに勝てる自信ないよ……」



思わず本音を言ってしまう



勝つも何もこんな状態じゃスタートラインにすら立てそうにないのに




「やっぱりまだ翔汰くんが好きなんだね」



再会して一緒にいると抑えきれなくなってきた気持ち



結菜の前くらいは素直になろう



「……好きって思うだけなら良いかな?」



「朝も言ったけど、私は辛いだけだと思うよ」



「ただでさえ辛いのにフリなんてして大丈夫?」



たしかに……さっき抱き締められて思った



好きな人にしてもらえるのは嬉しいけど、フリだって思うと虚しくて辛い



でも……それを他に人にされたら?



考えただけで胸が押し潰されそうになる




「今は他に彼女が出来る方がもっと辛い」



結菜にそう伝えると、



「そっか……でもこのままは良くないから少しずつ考えていかなきゃね」



「私も相談に乗るから」



まるで自分のことのように親身になってくれた



結菜の言うとおり……このままではいけない

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