第23話

校門の近くまで来て、私から繋いでいた手を離す



周りの生徒からの視線がきつかった



よく翔汰は堂々としていられるな……




「じゃあね」



玄関まで来て下駄箱に行こうとすると、



「えれな、待てよ」



と言って翔汰に手を引かれる




「部活終わったらラインする」



そう言って私の頭を優しく撫でた




………もうっ、頭を撫でるなんて反則だよ



フリだと分かっていても、翔汰の行動一つ一つにドキドキしてまう



周りにいた人達が注目してざわつき始める



でも、それが翔汰の狙いだから仕方ないか……





「ちょっと、どういうこと?」



下駄箱に靴を入れようとしていると結菜がやって来た



どうやら見られていたらしい




「まさか、付き合うことになったの?!」



そりゃあ、あんなとこ見たら勘違いするよね……



私は結菜に昨日のことを全て話す




「何それ、最低!えれなの気持ち知ってるくせに何考えてんの?」



今にも翔汰に文句を言いに行きそうな結菜



「私のために無理してるなら良いからね!別に涼介さんに言われたって平気だから!」



自分の弱味を握らせたせいで私が辛い思いをするのが耐えられないんだろう




「結菜、私は大丈夫だから落ち着いて」



「……えれなは本当にそれで良いの?付き合うフリなんて辛いだけだよ?」



こんな関係良いはずないけど、翔汰の近くにいられて嬉しいと思ってしまった自分がいる



それに付き合うフリをしている限り、翔汰には彼女は出来ない




「今は翔汰の近くにいたい」



私がはっきりそう言うと、



「わかった……無理しないでよ」



結菜は心配そうな顔をしながらも、分かってくれた




時計を見ると朝練の開始時間が迫っている



「やばい、急がなきゃ」



私達は急いで体育館に向かった

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