第16話

「もう!勝手に入らないでよ!」



「良いじゃん、いつも来てただろ」



「もう昔の話じゃん」



勝手に入られて恥ずかしい反面、翔汰が部屋にいるのが懐かしく感じた




「俺たちよく一緒に寝てたよな……来る?」



翔汰はそう言って手招きして来る



ドキドキ………



なにそれ……何でそんなにチャラくなったの……



冷静にそう思っても、翔汰を見て顔が赤くなってしまう




「………もう!ふざけないでよ!」



「赤くなっちゃって可愛いな」



「えれな、彼氏いたことないだろ?」



私が怒っても、翔汰は構わずからかってくる



彼氏なんて出来ないし、あれから他に好きな人だって出来ていない




「うるさいな……いないよ!悪い?」



「そうなんだ、可愛いと思うけど……」



翔汰は急に真面目な顔で私を褒めてくる



でも信じない、簡単に可愛いとか言わないでほしい




「翔汰は?モテるでしょ?」



「俺?モテすぎて困るんだけど」



やっぱり……あの純粋だった翔汰が女の子にモテすぎてチャラ男になっちゃったんだ



なんだか寂しい……私の知っている翔汰じゃないみたい




すると、翔汰が続けて口を開く



「今は彼女いないけどね」



"今は"ってことは前にはいたんだ………



想像出来たことなのにどうしてもショックを受けてしまう



余計なことを聞かなきゃ良かった……




そう思っていると、



「えれな、お願いがあるんだけど……」



翔汰が何かを企んだような顔をしていた

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