花の章

原生蘭

 太陽が文字通り真上から照り付ける未舗装の道を、列を成した兵隊が進む。

 荊凍ケイテが頭上を見上げた。札幌では夏至でも太陽が東京の春ぐらいにしか昇らない。同じ太陽でも随分違って見えるものだ、と思った。

 道の片側では巨大な実を付けた椰子がまばらに生え、その隙間から海岸が見える。白い砂浜に緩く打ち寄せる水は、珊瑚礁を透かすエメラルド・グリーン。沖の水面はコバルト・ブルーで、陽光を反射して輝く。

 列の先頭近くを歩く荊凍ケイテが、海を眺めながら硫咲イサキに話しかける。

「それにしても、絵のように見事な風景ですね。砂も海も暗い小樽の海水浴場とは大違いです」

「小樽の方がまだこれに近いぞ。岩だらけのオホーツク海沿岸とは全くの別物だ。暗号名〝陽炎島かげろうとう〟とはふざけた呼び名の島だと最初は思ったが、この夢幻ゆめまぼろしのような景色に相応しい気がしてきたな」

 硫咲イサキはそう言うと、浜と反対側を指差した。密林と道の境目近くに、幹の下部から放射状に根が伸びている。

「なあ、あの樹はなんだ。マングローブというやつか。しかしあれは水辺に生えると聞いた気がするな」

「仰るとおりマングローブは干潟など湿地のもので、根はもう少し細かく枝分かれします。あれはタコノキでしょう。名前のとおり、蛸の足のように支柱根が放射状に伸びます」

 荊凍ケイテがすらすらと答えた。硫咲イサキは、ほう、と呟き、別の樹を指差した。黒く枯死した幹に、灰色がかった大小の根が網目のように絡みついている。

「あれはなんだ。絡まり合って何がなにやら」

「中心の樹はよく見えませんが、外側の樹はガジュマルでしょう。絞め殺しと言って、他の樹に寄生して育ち、最後には寄生先の樹を枯らしてしまいます」

「南洋の生存競争は凄まじいな。花も咲いているが、あれも寄生しているのか」

 樹の半ばからは羽を広げた蝶の様な形をしたマゼンタ・ピンクの花が咲いていた。花の根元には艶のある細長い楕円の葉を付けた茎があり、茎から伸びる緑味の節ばった根が、灰色の根に絡まっていた。

「着生種の原生蘭ですね。これは寄生ではなく、陽光を求めて他の樹の上に間借りしている、とでも言いますか。贈答用の胡蝶蘭も、あのような花から品種改良を重ねたものです」

先刻さっきから思っていたが、妙に詳しいな」硫咲イサキが目を見開いて荊凍ケイテの顔を見た。

「自分で尋ねたのに不思議がらないでくださいよ。出発前に南洋の地誌について予習しただけです。暑さに慣れるため、図鑑を温室へ持ち込んで」

「勉強熱心だな。温室というと北大の植物園か」

「いえ、庭に薬草栽培用の温室がありまして」

 荊凍ケイテの回答を聞いた硫咲イサキは真顔になった。

「さすが大病院……それはさて置いて、たしかに暑い。温室どころか蒸し風呂だった船倉より空気は良いが、歩くと汗が止まらない」

「全くもって。荷物も背負っていますし」

 荊凍ケイテは首に掛けた手拭いで額の汗を拭き、防暑略帽を脱いで扇代わりに扇いだ。綿麻のベレー帽は扇いでも途中で折曲り、頼りない風しか起こさなかった。荊凍ケイテは帽章の銀糸刺繍でかたどった蚕蛾カイコガを見て、小学校の授業で育てた蚕蛾を思い出した。木箱の中、ぽってり太い胴に釣り合わぬ小さな羽で弱々しく羽ばたく。しかし、飛翔能力を失った改良品種である彼らが宙に飛び上がることはけしてないのだった。

荊凍ケイテ君、大荷物だな」

「色々入り用ですので」

 硫咲イサキは軍刀を佩いて革の背嚢を背負い、水筒と拳銃、図嚢マップケースと軍医携帯嚢を肩から腰から下げていた。荊凍ケイテ硫咲イサキと同じ装備に加えてもう一つ、中身がパンパンに詰まった雑嚢ざつのうも背負っていた。

 二人の前を歩く、年若い衛生上等兵が振り向いた。

「お荷物をお持ちいたしましょうか」

 衛生上等兵の隣に並ぶ、小柄な衛生兵の少年も振り返って荊凍ケイテ硫咲イサキを見た。ぶかぶかの防暑略帽が片目に影を作り、陽の当たる側の眼は太陽に照り負けるような灰青で、銀の前髪が細く掛かる。彼自身の荷物は銃剣と水筒くらいだったが、二人分の鉄帽ヘルメット防毒面ガスマスクを背負っていた。硫咲イサキが答える。

いや、他にも持ってもらってるし、行李こうりも任せているんだ、これくらいは自分たちで運ぶ涼康班長も|霜銀ソウギン《ソウギン》君も、暑い中の案内を感謝する」

 硫咲イサキが後ろを振り返る。馬が曳く荷車には、白地に緑×バツ印を描いた衛生資材の詰まった木箱が積まれており、隙間に荊凍ケイテ硫咲イサキの将校用行李も載っていた。荷車の続く先は、埃っぽい道が続く。

「他の者たちはそろそろ目的地へ到着した頃かね」

「海岸近くの高射砲陣地にはもう到着したかと思いますが、他は――――そうですね、衛生兵たちは皆、野戦病院の配属ですから、まだ移動途中かと思われます」

「そうか。兵站病院へもまだ暫く掛かるか」

 涼康衛生上等兵は道の先を指差し「もうすぐです。そこで曲がって密林を突っ切る道を」――――

 道を曲がった先の方角から、甲高い悲鳴が上がった。将兵たちが息を呑んだ。銃に手を掛ける者もあった。その内に草を掻き分ける音と、次いで砂道を駆ける音がした。一人の少年が、道に飛び出した。

「大変だ!来留見くるみが!」

 少年の目が、荊凍ケイテ硫咲イサキが着ける白地に緑×バツ印の腕章を捉えた。「お医者様ですか!お願いします!早くこちらへ!」

 少年は近くにいた方の医者――荊凍ケイテの腕を掴んで走り出した。



*****



 蘭の花が、ガジュマルの根に捕われた少年の目と口から咲いていた。広がる葉で顔はほとんど覆い隠され、マゼンタ・ピンクの花が蝶の様な花弁を大きく広げている。


「先週、密林で食べ物を探しているとき行方知れずになりましたので、探していたのです」荊凍ケイテを引っ張ってきた少年が泣きながら言った。

 荊凍ケイテが口を半開きにして〝花〟を見る。少年の身体にはガジュマルの根が絡み、中心で絞め殺されかけている樹の中程に縛り付けられたようになっている。声を掛けても返答はないが、首筋に触れると弱く脈があった。口元に手をかざすと弱い風を感じた。花の根本に手を掛けてそろりと引っ張ると、少年は呻き声を挙げ、口のから血を流した。

「苦しそうです。モルヒネを打ってやれませんか」

 少年が懇願し、荊凍ケイテはぎこちなく頷いて腰の軍医携帯嚢を探り始めた。背後の涼康上等兵に声を掛ける。

「根を切って降ろしてやれ」

 涼康衛生上等兵が銃剣を手に近付き、霜銀ソウギンも後に続いた。二人で手足に絡む根を切っていく。荊凍ケイテが根の隙間から少年の腕にモルヒネを打った。霜銀ソウギンが少年の背と樹の隙間を覗き込み、ひっ、と叫ぶとその場にへたり込んだ。胸元から革の鞘を引き出し、赤い模様のある黒耀石の小刀を引き抜くと、それを握りしめてなにやらぶつぶつと呟き出した。

「どうした」

 荊凍ケイテ霜銀ソウギンの背後から覗き込んだ。軍袴は一部が裂け、臀部が露出している。身体の〝中〟から蘭の根の束が伸び、ガジュマルの根に絡んでいた。荊凍ケイテは根で覆われた少年の腹を探った。根には一見して常緑樹と判る艶のある葉が絡んでおり、根を掻き分けると、ぱり、と割れるように裂ける。根の隙間から上着の裾を引いた。脂肪のない薄い腹に、不規則な凹凸が浮き上がっていた。荊凍ケイテが目で合図し、涼康上等兵がその根を切った。そのまま他の根も切り、少年を地面へ横臥させた。身体の前面にも背面にも邪魔者があるため、仰臥も伏臥も適さないのではと考えたのであった。

 背面の突起を減らすべく、涼康上等兵が蘭の根を短く刈り込んでいると、肩で息をしながら硫咲イサキが姿を現した。腰までの羊歯シダを掻き分けつつ、まだ数歩離れた場所から言う。

「船の上で一生分の惨たらしい遺体を見たと思ったが、上陸早々とんだ歓迎だ。寒村の眼医者の手には余るぞ」

「眼の外傷もあるようですからご専門の範疇では。それと、まだ息があります」

 硫咲イサキがひゅっと息を呑んだ。

 荊凍ケイテは自分の指から爽やかな香りがすると気付いた。見ると爪に葉の欠片が挟まっていた。見上げると、ガジュマルに絞め殺されかけている樹から伸びる枝々から、ガジュマルの根に絡んでいたのと同じ、いかにも常緑樹といった照りの強い葉が繁っていた。風が吹くたび、緩く波打つ葉の縁が触れ合い、かしゃかしゃ、さらさらと音を立てる。亜寒帯の北海道に分布しないこの樹を彼女が見るのは初めてだったが、匂いでそれがくすのきだと認めた。

 はっとして軍医携帯嚢からカンフル剤のアンプルを取り出し、アンプルカッターで切れ目を付けて割り開けた。葉とは違って緑っぽさがなく、より鋭い樟脳カンファーの香りが鼻を刺した。注射器でアンプル内の薬液を吸い上げ、少年に注射した。

「だから云ったでしょう」

 背後からの歌うような声に、荊凍ケイテがびくりとして振り向いた。

「皆、もっと百開千成ももひらきせんなり様へお祈りするべきだったのです。この姿を御覧なさい。彼は百開千成ももひらきせんなり様に捧げられたのです」

 気づかぬ間に、長身の少年が立っていた。視界の悪い密林では背後を取られても気づきにくい。彼は背負っていた担架を降ろし、地面に広げた。巻いた赤毛の隙間からブーゲンビリアが咲いて軍帽に絡んでいる――荊凍ケイテがぎくりとして花を凝視した。

「ああ、斑雲むらくもの云う通りだ」霜銀ソウギンが蘭の咲いた少年を担架へ横たえた。

 斑雲むらくもの頭から、ブーゲンビリアがぽろりと落ちた。マゼンタ・ピンクの花弁――厳密には花弁のように見える苞葉ホウヨウ――に、ライムグリーンの斑が入った葉。なんてことはない、頭から直接咲くのではなく、しなやかな枝の切り花を帽子に巻いていただけのようだった。斑雲むらくもがブーゲンビリアを拾って髪に挿し直した。

 涼康上等兵が「斑雲むらくもも来てたのか」と問う。

「病院前の道で彼に呼び止められました」

 斑雲むらくもの背後から、涙で顔を濡らした少年が現れた。荊凍ケイテの腕に縋って云う。

「先生、来留見くるみが可哀想です。早くあの花を抜いてあげられませんか」

「先ほど試みたが上手くいかなかった。ここで無理に抜く方が危ない。きちんと手術で取り除く必要があるだろう」

「あなたが霞早太カソウタ先生の後任ということですか」斑雲むらくも荊凍ケイテを睨んで問うた。

「ああ。ぼくと――ああ、ぼくは荊凍ケイテという――こちらの硫咲イサキ先生が、だ」

 荊凍ケイテが目線で硫咲イサキを指した。

 硫咲イサキは担架に横たわる少年の呼吸と脈を確認している。

「先ほど補給船で着いたばかりだ。前任者は軍歴もある小児科医だったと聞いているから、後任が予備役の眼科医と学生では頼りないかもしれんが、まあ、二人で一人分と思ってお手柔らかに頼むよ」

 霜銀ソウギンは無表情。少年の身体をベルトで固定した。斑雲むらくも霜銀ソウギンが担架を持ち上げようとしたが、硫咲イサキが静止した。手は少年の首筋に当てられている。傍らで見守っていた二人の少年――荊凍ケイテを連れてきた者と斑雲むらくもを連れてきた者――が硫咲イサキの顔を覗き込んだ。硫咲イサキは俯き、首を静かに振った。少年たちは声を上げて泣き出した。

「君たちは彼と同じ部隊か」

 荊凍ケイテが泣く少年たちへ問い、少年たちが頷いた。二人とも衛生兵の腕章を着けていなかった。

「彼らは飛行場建設に当たっている部隊の者たちです」涼康上等兵はそう言い、二人に指示する。

「彼は兵站病院で預かるから、君たちは上官へ報告してきてくれ」

 二人は頷いて立ち上がり、その場を去った。

 涼康上等兵の合図で斑雲むらくも霜銀ソウギンが担架を持ち、歩き出した。担架の横には涼康上等兵が付いた。荊凍ケイテ硫咲イサキも後に続き、腰の高さの羊歯シダを掻き分けて歩く。

 ばさばさ。列の背後で鳥の羽音が鳴った。荊凍ケイテが振り向くと、鸚鵡が飛び去っていった。周囲の地面には色鮮やかな鳥の羽根が散らばっていた。猛禽類のものとも思われる、巨大な羽根。

 葬列は無言で熱気が籠もる密林を進む。ラワンなど葉を密に繁らせた広葉樹が遥か高い所で陽を遮るため薄暗いが、頭の高さで芭蕉に似た大きな葉を広げるバナナの木が蓋の役割でもするのか、人の歩く高さには熱の湿気が押し留められていた。

 どこかで発酵しているような、熟れすぎた果実の匂いが漂ってくる。楠の葉を千切って遺体に被せておくべきだっただろうか、と荊凍ケイテは考えた。樟の葉や樹皮から抽出される樟脳カンファーは、カンフル剤としての効能以外に、防虫及び防腐効果がある。


 暫く歩くうち、蘭とは違う甘い香りが荊凍ケイテの鼻をくすぐった。前方に、触手のような少し捻れた細い花弁を垂らす、鮮やかな黄花が見えた。イランイランだった。官能的な香りに、熱で茹だった頭がぐらついた。心臓がどくんと高鳴り、不思議と足取りも軽くなるように思われた。イランイランの樹の前を通り過ぎるとき、垂れ下がる花弁の先が荊凍ケイテの頬に触れた。花全体はの大きさは、荊凍ケイテの顔の半分ほどもあった。



*****



 手術台の上に、腹の中身を晒した少年の躰が横たわる。内蔵の殆どを取り出された虚ろな身。台に並んだ洗面器の中、切り開かれた消化管の中には、絡まり合う根が詰まっている。直腸から十二指腸、大腸、小腸、胃、それから食道。

 手術用のガウンを着てマスクとゴム手袋を着けた荊凍ケイテが、胃の中を改める。消化途中の内容物はない。胃の半分を満たす束になった根は、細い絨毛のようなものを伸ばして胃壁に食い込ませ、また胃壁からも毛細血管が根に伸びて表面に網目を作っている。

 傍らに立つ黒髪に細目の軍医が、荊凍ケイテの手つきを観察しながら言う。

「大学を出てからまだ臨床経験がない軍医学校の学生と聞いていたが、中々手慣れているではないか。その上、肝も座っている」

「祖母が病院をやっておりまして、授業や訓練がない日にはそちらを手伝っておりました」

「御実家は札幌の綜合そうごう病院だそうで。内科に外科はもちろん精神科に女性科まで、解剖の設備も整っているのだと。俺みたいな漁村の眼医者とは大違いだよ」

 一歩離れた場所で書類に書き込む硫咲イサキが茶々を入れたが構わず、荊凍ケイテは手を動かし続ける。根を手で引っ張ると、ぷし、と毛細血管が裂けて血が滲み、胃壁の表面がずるりと落ちた。

「やはり癒着が酷いですね。形態は樹に根を張る着床生の原生蘭のように見えますが、人間にも根付くとは聞いたことがありません。この島の風土病だなんて仰らないでくださいよ、湖弓大尉」

「まさか、俺も初めて見た。これは全部摘出したら末期のロブラ患者の内蔵のように目茶苦茶になってしまいそうだな。適当なところで切り上げよう」

 湖弓と呼ばれた細目の軍医が返した。次いで、硫咲イサキに声を掛ける。

硫咲イサキ先生からも、眼科御専門医としてのご意見をお聞かせ願えますか」

 硫咲イサキは小声で、

「俺は大学の解剖実習で卒倒して、それで眼科を専攻したんだよ」

 と吐き捨てると蒼い顔で遺体の頭に近付いた。眼から咲いていた花は取り除かれ、瞼が閉じられていた。これは、まず眼を閉じてやるべきだと硫咲イサキが主張したためであった。顔を覗き込むと、荊凍ケイテが片方の瞼を開いた。

「専門も何も、ご覧の通りだ。眼球を刳り抜いてから花を挿し込んだように見えますがね」

 硫咲イサキはそう言うと、再び書類へ視線を戻した。荊凍ケイテが眼窩の中を改める。

「こちらは根を張っていません。硫咲イサキ先生の仰った通りかと」

 荊凍ケイテは消化器から根の束をの一部を鋏で切断してい取り出し、琺瑯ほうろうの洗面器に積んでいく。それが終わると開いた腹の縫合に移った。硫咲イサキが湖弓に書類を見せる。

「こんなものでいいか。解剖の記録係なぞ初めてだから勝手がわからん」

「はい。無理を承知でお願いしてしまいました。なにしろ人手が足らぬもので」

荊凍ケイテ君も目を通してくれ」と湖弓が言い、硫咲イサキ荊凍ケイテが顔の前に書類を掲げた。

「開始前にも伺いましたが、本当にこの名前なのですよね」

「ああ。前に三日熱マラリアで入院していて、俺の受け持ちだったから間違いない」

「そうですか。たしか他の少年たちからクルミと呼ばれていて、女みたいな名前だと思ったから印象に残っていたのですが、どうも聞き間違いだったようです」

 荊凍ケイテが小首を傾げながら言った。

「たしか、そんな名字だったな。彼の部隊は函館召集だ」

「本州ではまだ名字を使うと聞きますが、道南の方でも使うのですね。四民平等の廃姓令から半世紀以上経ちますが」

「何でも新しいものが好きな都会の若者には分からんこともあるんだよ。しかし、一番分からんのは――――」硫咲イサキは一度言葉を切り、薄目で遺体を見た。

「この子はなぜあの状態で生きていたのかね」

 湖弓も荊凍ケイテも答えなかった。


 ふわり。どこからともなく吹いた風が、琺瑯の洗面器に積まれた根の上から、蘭の花弁を落とした。

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