あをいろ綺譚

ざらら残式

※※※ネタバレあり※※※応募用あらすじ

「第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」応募用のあらすじです。

ネタバレありです。

↓※ネタバレ注意※

「違法妊婦スナッフ 篇」あらすじ:

 軍医の荊凍ケイテは、札幌で起きている連続妊婦猟奇殺人事件の調査のため、雪の深山に分け入り、そこに棲む人の姿をした化け蛇、メカクレに協力を乞う。

 荊凍ケイテはメカクレの嗅覚と、薬物で正気を失った妊婦の回想、警察内部に犯人ありと耳打ちする警官の懇願、それにススキノ近くの淫魔の証言を頼りに調査を進める。模倣犯の男娼が起こした娼婦殺し騒ぎに邪魔され、また、本来の業務である伝染病を媒介する動物の調査中に部下を狼に殺されながらも、犯人が潜むであろう雪の山中に隠された毒ガス倉庫へ辿り着いた。

 そこでは主犯の男以外に、火器で武装した主犯の弟の少年や、男娼くずれのやくざ者、警察に犯人ありと耳打ちした警官などの障害が待っていた。混乱する荊凍ケイテを余所に、警官は彼女の目的――自らの母親を拷問し殺害する――を果たし、自害する。彼女は犯人の想い人であり、また協力者でもあった。彼女に軽くあしらわれた犯人は、狼の姿に変身し、二人に襲いかかる。狼人に追い詰められたメカクレは、人の皮を脱ぎ捨て大蛇の姿に戻り、狼人を打ち倒す。瀕死の狼人は雪から湧き出る小蛇に包まれ、生きる産卵床と成り果てた。


「青が原――邂逅――」あらすじ:

 旧制中学時代の荊凍ケイテは、病床の母のため万病を治すという青い花を探しに大雪山へ入った。そこでメカクレと出会い、地元の人間と思い違いをした荊凍ケイテは彼に花探しの協力を乞う。花探しの道中、荊凍ケイテは大雪山と青い花にまつわる、父母やその前の代から続く因縁を語る。語るうち、メカクレの旧知の化け狐が現れて二人を襲い、メカクレは怪力で化け狐を追い払うも負傷し、荊凍ケイテに治療を求めた。

 傷が癒えた後、二人はついに青い花を見つけた。それは罌粟に似るが薬効はない、鳥が運んだ異国の珍花だった。そして荊凍ケイテが振り向くと、メカクレは忽然と消えていた。


「南洋熱病地獄 篇」あらすじ:

 軍医学校在学中の荊凍ケイテは、戦況の悪化に伴う軍医不足を受け、学生の身ながら遥か南洋の戦地へ送られた。なぜか荷物へ紛れていたメカクレも一緒だった。

 到着した島でまず目にしたのは、熱帯雨林で蘭の花に寄生されながらも虫の息で生きる少年。が、すぐに彼は息絶えた。さらに、島では全身の孔という孔から血を流して死ぬ奇病や、マラリアなどの熱病が蔓延っていた。

 異郷の地獄に落とされ、疲弊した少年衛生兵たちは、それぞれ縋るものを見出していた。美しくも禍々しい祈りの儀式や占い、幻覚キノコ、さらには本来は成人男性兵士向けのセルロイド人形、また、ある者は看護師との歪んだ主従関係に耽溺する。

 一方、彼らを監督するべき大人たちも、密造酒や薬品庫から盗んだ麻酔用のコカイン、爛れた駆け引きなどの誘惑に負ける者があった。

 熱に魘される日々の中、花になった少年に続いて、樹脂と一体になった少年、それから巨大なココナッツに詰められた少年が見付かる。荊凍ケイテは彼らの遺体から摘出した鳥の羽根を訝しむ。

 ある日、飢えた少年衛生兵からの「鳥の卵を獲りにいく」という誘いに乗り、荊凍ケイテは密林に入った。辿り着いたのは鷲の巣、絶壁に穿たれた洞窟の奥で少年衛生兵の一人が仲間の惨殺死体を切断していた。彼は想い人たる真犯人を庇うため、その者を洞窟内に隠し、自ら殺人鬼を演じていた。

 黒幕は、事故で死んだことになっていた荊凍ケイテの前任の小児科医だった。彼は少年兵への虐待が露見して秘密裏に上官から始末されかけたところで密林へ逃げ込み、洞窟で出会った人面鷲の幼鳥に出会った。彼は人面鷲の持つ、動植物の生命力を強化させる力を借りて生き延び、また、一連の凶行に及んでいたのだった。

 鷲を操る小児科医に嬲られ瀕死となったメカクレは、大蛇の姿に戻って人面鷲を追い払った。巣立ちを迎えた人面鷲は、小児科医を置き去りに空へ消えていった。

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