第51話

「天宮、どうするんだ、この場で決めろ」


…ああ、神様私はどこで道を間違えたら

こんな大魔王様と結婚する羽目になったのでしょうか…、


今からでも信仰しますので、どうか運命を変えていただけませんか───!


なんて神頼みしても変わらないのが現実なんだ。


…でも、私はもう秘書の"場所"に戻ることはしたくない。何故なら、私の努力は無駄だったのかと思ってしまうから。


会社の重役の娘だからといって、

私が今まで血の滲む努力をして、失敗して、やっと築き上げた場所にいとも簡単に座られてはたまったものではない。


私にだってプライドというものがある。



「…わかりました、社長と結婚します、

でも…半年は婚約者"仮"でお願いします」


「…は?」


社長は困惑した表情で私を見ている。


「何故、"仮"なのかという事ですが、

私達は恋人同士ではありません、

ですので、お互いの生活感がまったくわからない状態です。ですので半年は仮婚約と言う形を望みます」


「…」


「もし、その半年の間に何かあったのであれば、婚約解消という形にしませんか?」


「…それはなんだ」


納得していない社長に私は続ける。


「特に何事もなければ、私たちは結婚することができます。お互いに損は無いとは思いますが…」


そう言う私に、社長は押されたのか

渋々納得してくれた。

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