第46話

次の日、私は社長のデスクの前にいた。


手に持っているのは「辞職願い」


ーーー…綺麗さっぱり未練はないから、


って言ったら嘘になるけど…


私はやれるだけの事はしてきたと思うし、

秘書としての仕事は全うした筈だ。


「…社長、5年間ありがとうございました」


そう言って、辞職願いを差し出す。


「…」


…だが、彼は一向に受け取ってくれなかった。


「…社長、」


「受け取らない」


なんで…?

別に私が辞めたって彼女が…櫻井さんがいるではないか、


何も困る事はない筈だ。


「天宮」


「…?」


「何故やめる」


社長は私を真っ直ぐに見つめてくる。

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