第30話

次の日、彼女…櫻井さんはちゃっかりとお弁当を作ってきていた。


凄いなあ…やっぱり彼女の行動力に驚かされる事が多い。

私はもう作る事は絶対にしない。

あんなに傷つく事はもうしたくないんだ。


「社長、これ喜んでくれるかなぁ、

美月、心配で堪らないですよ〜」


朝からソワソワしてる彼女を一瞥して、

私は次の会議のパワーポイントを作っていた。


「…」


「天宮せんぱい〜、無視しないでください〜」


さっきから邪魔が入って進まないけど。


「…喜んでくれると思うよ、」


「ですよねぇ!よかったぁ、安心したぁ」


櫻井さん、悪いけどそれは社長にしかわからないんだ。

私みたいになるのが目に見えてる…、


「もう渡そうかな!美月我慢できない!」


…おお、なんと勇敢な…、

玉砕しても泣きつかないでくれよ…、


私はデスクで聞いてない振りをして、

パワーポイント作成を進めていた。


「社長っ!美月、頑張って作りました!

ぜひ、食べてくれませんかぁ?」


さっき私と話をしていた時よりワントーン高い声で彼女は社長にお弁当を渡していた。


…はあ、目を瞑りたいくらいの光景。


「…ああ、ありがとう、後で食べる」





……は?

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