第19話
「天宮」
デスクに戻ろうとした私に、社長がいきなり話しかけてきた。
「はい?」
「お前ならどっちが好みだ」
パソコンの画面を指差して聞いてくる社長。
画面を覗き込むと、そこにはmarriage ringと書かれたブランドの結婚指輪があった。
え…えっと、社長はご結婚予定があるのだろうか…、私に聞くべきではないんじゃないか…?
いや百歩譲って婚約指輪なら分かる。
サプライズでプロポーズとかならね?
でも結婚指輪は2人で選ぶのが一般的ではないのだろうか、?
「…え?」
「どっちだ」
どっちって言われても…、
画面にはゴールドピンクとシルバーのリングが表示されていた。
値段を見たら、ぶっ飛びそうになるくらいで、
私が仮に結婚したとして、彼が普通のサラリーマンだったら絶対に買えない金額だった。
「…わ、私ならシンプルにシルバー、ですかね…」
「…そうか」
社長はもういいと言うような仕草をしたので、
私は自分のデスクに戻った。
自分のデスクって言っても社長室の中にあるから社長と同じ空間にいる事には変わりない。
っていうか、それでさっきから難しそうな顔でパソコン見てたの!?
…暇じゃないですよね、あなた…
やっぱり社長の事は何年経っても読めないのであった。
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