第17話

佳菜美は、クロワッサンたい焼きを食べながら、不機嫌な表情で言った。


「この間言ってた新人、超香水臭いんだけど、

職場になんであんな趣味の悪い香水つけてこれんだよって感じなんだけど」


いかにも思い出して最悪というように表情を歪める佳菜美に私はまあまあ、と宥める。


「名前なんだっけ、その子の」


櫻井さくらい 美月みづき

今、研修で色々な部署転々としてるからそのうち奈那のところにも来るんじゃない?」


櫻井美月か…残念ながら私は一度も会った事はない。現在、佳菜美のいる人事部で研修中の為か、佳菜美から愚痴は沢山聞くから知っているけど。


「秘書は流石に来ないんじゃないかな、研修には…、たぶん社長が嫌がると思う…」


というか、秘書は意外と会社の機密文書とか、外部に漏れてはいけない書類などを扱っているため新人の研修で配属される事はない。


佳菜美はまだぶつぶつと何かを呟きながら、

クロワッサンたい焼きを食べていたが、

私はそろそろ行かないとまずいので、佳菜美に挨拶をして休憩室を出た。

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