第16話
「奈那っ!」
トンっと肩を叩かれ、声のした方を見ると、
案の定、私の予想していた人がいた。
私と同期の人事部所属の佳菜美が私を憐れみの目で見ていた。
「佳菜美…おつかれ」
「あんたは今日も幸が薄いね〜 」
うるさいななんて言う気力もなく、
黙って佳菜美を見つめるしかなかった。
佳菜美は黒髪をバレッタで一つに纏め、
淡いピンク色の口紅を塗っている所謂、可愛い系。
人事部で、面接担当や教育担当を任せられている彼女は人を見る目がある。
「これ、食べる?」
「…ははーん、また社長にいらないって言われたんだ〜、そっか、今日は本社から呼び出しくらったんだな」
佳菜美には色々話している為、
事情はよく知っているのだ。
クロワッサンたい焼きを受け取った彼女は、一口食べて、美味しいのにね、と私に同情してくれた。
同情するなら、代わってくれ…
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