第14話
「天宮」
奥田部長の挨拶も無視し、私の名前を呼ぶこの男を無視したい衝動に駆られるがそんなことはできない為、はい、と答える。
「資料、営業部の数字が間違えている」
私に突きつけるように資料を渡す社長に、
胸がズキンと痛くなった。
容赦ないよな…本当いつもの事だけど…
「…すみません、すぐ…」
「社長、申し訳ございません、
営業部の資料を作ったのはうちの部下です。
早急に私が訂正し、正しい資料をお持ちします」
私の言葉を遮ったのは奥田部長。
それに何故か社長は怪訝そうな顔をした。
「…すぐに新しい資料を用意しろ」
が、すぐに元の社長に戻り、会議室の中に入っていった。
そんな社長に違和感を覚えるが、考えすぎだろう。
そんなことより、奥田部長はやっぱり優しい。
確かに、会議の資料の社長が指摘していた箇所は営業部が作成したものだ。
けれど、最終確認は私がしていたので、
私にも責任がある。
「奥田部長…すみません、私も手伝います」
奥田部長は余裕そうな表情で、にこりと笑った。
「大丈夫、俺の部下のミスでもあるから、
すぐ直してくるから、天宮は気にすんなよ」
私の頭を撫でて、奥田部長は颯爽と資料訂正の為に、営業部へと戻って行った。
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