第3話 EP1-3 服だけを溶かすスライム

 この世界せかいとなりには、『狭間はざま』とばれる世界せかいがある。

 狭間はざまには、『狭魔きょうま』とばれるモンスターがる。

 狭魔きょうまたおす、『魔狩まかり』とばれる人間にんげんがいる。


   ◇


 オレは、遠見とおみ 勇斗ゆうと。十四さい中学生ちゅうがくせいで、えないメガネ男子だんしである。一応いちおうしの魔狩まかりである。

「ねぇ、勇斗ゆうとつぎ日曜にちようだけどさ」

 桃花ももかが、ない口調くちょうした。


 絢染あやそめ 桃花ももか魔狩まかりである。十四さい中学生ちゅうがくせいで、桃色ももいろながかみで、華奢きゃしゃで、むねちいさい。

 中学生ちゅうがくせい放課後ほうかご帰宅きたく途中とちゅうなので、二人ふたりとも制服せいふくている。オレは廉価品れんかひん長剣ロングソード桃花ももかはオーダーメイドの両刃りょうば大剣たいけんこしにさげる。


「きゃーーーーーっ!」

 住宅地じゅうたくちんだみち突然とつぜんに、おんなひと悲鳴ひめいひびいた。半裸はんらの女の人が、はしって路地ろじへとげていった。

「なに!? どしたの!?」

 桃花ももか困惑こんわくがおで、周囲しゅういまわす。

 オレは、この世界せかいから狭間はざまえる特殊とくしゅ能力のうりょくちだ。だから、一瞬いっしゅんだけ見えた。

ふくだけをかすスライム……?」

「服だけを溶かすスライム……?」

 オレのつぶやきを、桃花ももかかえした。軽蔑けいべつ眼差まなざしでオレをていた。


   ◇


 日曜にちようになった。

 オレと桃花ももか琴音ことねで、住宅地じゅうたくちなかにいる。先日せんじつ魔狩まかりがスライムにおそわれたあたりになる。

 魔狩まかりギルドから、数人すうにん大人おとな補助ほじょはいる。物資ぶっし提供ていきょう交通こうつう規制きせい怪我人けがにん治療ちりょう送迎そうげいといった、戦闘せんとう以外いがいのバックアップをしてくれる。中学生ちゅうがくせい魔狩まかりには、とてもたすかる。

 スライムの犠牲者ぎせいしゃは、オレたちも目撃もくげきしたおんなひとと、マッチョの大男おおおとこだそうだ。二人ふたりとも『ウォリア』で、物理ぶつり攻撃こうげきのほとんどかないスライムにあしなかったらしい。


「なんで『ウォリア』のアタシが、スライム退治たいじ手伝てつだうのよ?」

 桃花ももか路地ろじのブロックべい悪態あくたいをついた。

「ごめんなさいごめんなさい! たよれるひとほかにいなくて」

 琴音ことね桃花ももか背中せなかあたまをさげた。

 たよれる、とのげん反応はんのうして、れた桃花ももかほおあからめる。ちょっとたよられると、いつも簡単かんたんよろこぶ。

「ま、まぁ、いいわよ。ともだちのたのみだもんね、うん」

 ビックリするくらいにチョロい。幼馴染おさななじみながら、将来しょうらい心配しんぱいになる。


諸君しょくん!」

 くろいスーツ姿すがたの、おやよりも年上としうえくらいのオッサンがけつけた。たかがたで、サングラスとととのったひげと、ひだりまぶたたて傷痕きずあと特徴的とくちょうてきな、哀愁あいしゅうただよしぶいオッサンだ。

もなく、作戦さくせん開始かいしする。準備じゅんびをしておいてくれ」

 このオッサン、片桐かたぎりは、この区域くいき担当たんとう責任者せきにんしゃで、現場げんばなかでは一番いちばんえらひとらしい。

まーかせて、片桐かたぎりさん」

「は、はい! わっ、わたし、頑張がんばります!」

「オレ、緊張きんちょうしてきたっす」

無茶むちゃはするなよ。いのち大事だいじに、だ」

 歴戦れきせん戦士せんし強面こわもてだけど、しぶ低音ていおんボイスだけど、はなしかる大人おとなだ。


   ◇


『はい!』

 三人さんにんで、力強ちからづよ返答へんとうかさねた。こぶしをギュッとにぎって気合きあいをれた。


 桃花ももかまえつ。スライムのおとりやくつとめる。

 いつものノースリーブにミニスカートにスニーカーだ。こしには、両刃りょうば大剣たいけんおさめた茶色ちゃいろおおきな革鞘かわざやだ。私服しふくはいつもこんなかんじだ。


 オレは、えのふくやらまったカバンをいくつもかかえて、すこはなれた電柱でんちゅうかくれる。桃花ももかばれてたけど、オレがいる意味いみからない。

 オレも普段着ふだんぎティーシャツジーパンスニーカー、こし長剣ロングソードである。


 琴音ことねが、桃花ももか後方こうほうつ。

 レースやフリルをふんだんに使つかった白銀はくぎんの、魔法まほう少女しょうじょみたいな衣装いしょうまとう。レースの手袋てぶくろには、あかいハートとしろつばさかざられた片手かたてサイズのつえにぎる。

 灰色はいいろながかみの、かたみをほどく。灰色が、白銀はくぎん髪色かみいろへとわる。


遠見とおみくん! 絢染あやそめさん! よろしくおねがいします!」

 琴音ことねは、攻撃こうげき魔法まほう使つかえる『ウィッチ』である。物理ぶつりつよ魔法まほうよわいスライム退治たいじ主力しゅりょくつとめる。

 ……いな! 魔女まじょなんて地味じみなもんじゃあない。琴音ことねは、魔法まほう少女しょうじょである!



マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます

第3話 EP1-3 ふくだけをかすスライム/END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年10月22日 20:00
2024年10月23日 20:00
2024年10月24日 20:00

マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます リュカギン @ryukagin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ