月も輝く

ルカ(聖夜月ルカ)

第1話

「早いね、もう5年も経つんだね。」


煌びやかなイルミネーションに街は浮き足立っている。

こんなに寒いのに、行き交う人々はみんな笑顔だ。

私の横にいる彼も微笑んでいる。

そして、もちろんこの私も。




だけど、私のは作り笑い。

いや、クリスマスを大好きな彼と一緒に過ごしてるんだから、嬉しくないはずは無い。

だけど、私には心から笑えない理由があるのだ。




「紗夜…そろそろ結婚しないか?」


「えっ!?」


レストランでの突然のプロポーズに、私は驚き過ぎて何も言えなかった。

私は、樹生さんが好き。

昔からずっと。

その人にプロポーズされたんだ。

何も迷うことは無いはず。

なのに、素直に頷くことが出来ない。




「……嫌なの?」


「そ、そうじゃないよ。ただ、びっくりしただけ。」


「紗夜はおかしなこと言うね。

僕たち付き合ってるんだから、いずれは結婚するでしょ。

え?まさか、紗夜って、恋愛と結婚は別とか思ってるタイプ?」


「ま、まさか!

そんなわけないでしょ!」




それは、真実だ。

それに、私が樹生さんのことを愛していることも。




ただ、私は怖いんだ。




だって、私は偽物なんだから…

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