第53話
*
(はぁぁ~~…)
あれから、何度か来た例のカフェで…
私は、大きな溜め息を吐いてしまった。
結婚生活はやっと一週間。
私は幸せだと思ってるけど…
柊司さんが出社してから帰って来るまでの間が、とても退屈なんだ。
(こんなことなら、仕事辞めなきゃ良かったかな…)
今更、そんなことを言っても仕方がないことはわかってる。
わかってるけど、愚痴りたくなる。
三田さんは、家事の合間に一緒にお茶でも…ってタイプじゃないんだよね。
一度誘ってみたけど、「私には仕事がございますので…」って、けんもほろろに断られた。
うん、最初からわかってるといえば、わかってたんだ。
三田さんは、私とは比べようもない程に、真面目な人だもん。
断られるのは、火を見るよりも明らかだよね。
で、習い事にもあんまり興味がなくて…
これといって、趣味もなくて…
三田さんと家にいるのは、なんとなく気詰まりで…
だから、私はこのあたりで暇を潰す。
お店を見て回って、小腹がすいたらカフェに入って…
最初は、目玉が飛び出しそうになったサンドイッチのお値段も、意外と驚かなくなってきた。
そういうものにかかるお金は、あつかましくも生活費から遣わせてもらってる。
だって、私…柊司さんの奥さんなんだもん。
それに、柊司さんが遣って良いって言ってるんだもんね。
とはいいつつも、実はまだ内心びくびくしてるんだけど…
一週間やそこらでは、まだセレブには慣れないね。
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