第53話




(はぁぁ~~…)




あれから、何度か来た例のカフェで…

私は、大きな溜め息を吐いてしまった。




結婚生活はやっと一週間。

私は幸せだと思ってるけど…

柊司さんが出社してから帰って来るまでの間が、とても退屈なんだ。




(こんなことなら、仕事辞めなきゃ良かったかな…)




今更、そんなことを言っても仕方がないことはわかってる。

わかってるけど、愚痴りたくなる。




三田さんは、家事の合間に一緒にお茶でも…ってタイプじゃないんだよね。

一度誘ってみたけど、「私には仕事がございますので…」って、けんもほろろに断られた。

うん、最初からわかってるといえば、わかってたんだ。

三田さんは、私とは比べようもない程に、真面目な人だもん。

断られるのは、火を見るよりも明らかだよね。




で、習い事にもあんまり興味がなくて…

これといって、趣味もなくて…

三田さんと家にいるのは、なんとなく気詰まりで…




だから、私はこのあたりで暇を潰す。

お店を見て回って、小腹がすいたらカフェに入って…

最初は、目玉が飛び出しそうになったサンドイッチのお値段も、意外と驚かなくなってきた。

そういうものにかかるお金は、あつかましくも生活費から遣わせてもらってる。

だって、私…柊司さんの奥さんなんだもん。

それに、柊司さんが遣って良いって言ってるんだもんね。

とはいいつつも、実はまだ内心びくびくしてるんだけど…

一週間やそこらでは、まだセレブには慣れないね。

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