第49話




「では、お暇させていただきます。」


「三田さん、どうもありがとうね。

また明日もよろしくね。」




三田さんは、朝7時から夜9時までいるようだ。

ふたりで、三田さんを見送り、ソファに腰かけた。




「どうだった?優秀な人でしょう?」


それが三田さんのことだっていうのはすぐにわかった。




「はい、そうですね。

お料理もとても美味しかったです。」


「そうでしょう?

彼女は、調理師や栄養士の資格も持ってるから、美味しいだけじゃなくて、カロリーや栄養のことも考えてくれてるんだよ。」


「へぇ、そうなんですね。」


セレブなお宅に雇われてるのは、やっぱりエリートな家政婦さんなんだね。




「あ…!」


「どうかしたの?」


「今日の材料費、渡すの忘れてました。」


「材料費?それなら、三田さんに預けてあるよ。」


「えっ?でも、私、生活費を…」


「あぁ、あれは、君が出かけた先とかで遣うためのお金だよ。

何か食べたり、買ったりすることあるでしょう?」


「えぇっ!?」


……それって、生活費じゃなくてお小遣いなんじゃ…




「足りなかった?」


「いえ、まさか!ありすぎです!

あ…それじゃあ、光熱費とか…」


「光熱費は、自動引き落としになってるから…」


って、それじゃあ、やっぱりお小遣い以外の何者でもないと思うのだけど…

嬉しいというには多額過ぎて恐縮してしまう。

やっぱり、柊司さんは違う世界の人だったんだと改めて思った瞬間だった。

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