第44話

(……ん?……んん?)




目が覚めて、一瞬、ここがどこだかわからなかった。

しばらくしてから、やっと思い出すっていう…




(う、うそっ!)




時計は、4時近くを指していた。

えっと…

遅い朝食を食べて…確か、その後、退屈で寝てしまって…




えーっ!?一体、何時間、寝てたのよ!

半ば、今の状況が信じられないまま部屋を出たら、なんだか良いにおい…

においの元はキッチンだ。




「奥様、お目覚めですか。

何かお召し上がりになられますか?

先程、声をかけさせていただいたのですが、眠ってらっしゃるようでしたので…」


私の気配に気づいたのか、鍋をかきまぜていた三田さんが振り返ってそう言った。




「え…あ、どうしようかな。

あ、柊司さんは、何時頃帰られるんですか?」


って、そんなことも知らない妻ってどうなんだろう?

でも、訊いたことないもんなぁ…




「今日は7時くらいのご予定でございます。」


7時か…それまで待つのはちょっと辛いかな。

あ、コンビニでパンでも買って来ようか。




「あの…私、ちょっとでかけて来ます。」


「どちらへ?」


「え?は、はい、ちょっと眠気覚ましの散歩に…」


私は意味もなく笑って、その場を立ち去った。

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