第30話

「あ…あぁ、そうだわ。

芹香さん、甘いものはお好き?」


「は、はい。」


「咲子さん、何かスイーツをお願いね!」


お義母さんが、大きな声を出した。

柊司さんとお義父さんは、俯いて黙々とお寿司を食べ続ける…




なんか、変だよね?

スイーツは、お寿司を食べた後で良くない?

私が戸惑ってる間に、テーブルの上には美味しそうなお菓子が並んで…

どうやら大福餅のようだ。




「芹香さん、さぁ、どうぞ。

中にフルーツが入ってて、美味しいですよ。」


「はい、ありがとうございます。」




お寿司の合間に甘いものっていうのは、ちょっと微妙だけど…




(あ…メロンだ!)


なんていい香り!

お寿司でちょっとあぶらっぽくなってた口が、急にさっぱりした。

きっと、高級なメロンなんだろうね。




「フルーツがみずみずしくて、すっごく美味しいです!」


私がそう言うと、三人とも嬉しそうな笑みを浮かべた。




「それは良かったわ。

今日、あなたたちが来ると聞いたから、買いに行ってもらったのよ。

柊司も食べてみなさいよ。」


「うん、あとでいただくよ。」


「芹香さんは、洋菓子と和菓子ではどちらがお好きかな?」


「はい、私は美味しいものならなんでも。」


「そうか、そうか。

芹香さんは、おおらかで良いですな。」


おおらか?

お義父さんも、柊司さんと同じことを言う。

さすがは、親子だね。

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