第16話

確かにそれは辛いことだけど…

でも、こんな綺麗な顔の人との結婚なんて、私にとっては奇跡みたいなことだから、少しくらいの難はあっても当然だよね。




うん、この機会を逃したら、もう二度とこんな話は来ない。

それは間違いない。




だったら、このチャンスを掴むしかない!




「あ、あの……私……このお話をお受けするつもりです!」


言った…言ってしまった。

まだ会って二時間も経ってないのに…




「……良いんだね?

愛されなくても。」


そう言われると辛いけど…

でも、この顔が…この顔の持ち主が旦那様になってくれるのなら…




「はい、構いません!

私の気持ちはもう変わりません!」


「そう……ありがとう。

これで、僕も父との約束が守れるよ。

君のこと…愛せはしないけど、大切にはするから…

どうぞよろしくお願いします。」


「こ、こちらこそ…!」


私は、柊司さんの差し出した片手をぎゅっと握り締めた。




自分でもちょっと呆れるようなやりとりだったけど…

だけど、これで柊司さんと私の利害関係は一致して、みんながびっくりする中、私たちは結婚することを両親たちに報告した。

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