第14話

「だから…お見合いを断るつもり?

それとも受ける?」


「え…そ、それは…」


そんな美しい顔で訊かれたら、断れるはずなんてない。




「僕には、決定権がないからね。

君の意思に任せるしかないんだ。」


「え?ど、どういうことですか?」


「父との約束だからね。

父が80歳になるまでに、結婚するっていうのは。

あと3か月しかないんだ。

今まで僕は好き放題に生きて来た。

だから、そのくらいの親孝行はしようと思ってる。」




なんですと?お父さんが80歳!?

ってことは、さっきいたのはおじいちゃんじゃなくてお父さんってこと!?

決定権がないっていうのは、とにかくおじいさんが80歳になるまでには結婚するつもりだから、柊司さんはお見合いを断ることはないってこと?

なるほど、だから、『君の意志に任せる』なんだね。




「確かに、悪い条件じゃないよね。

間違っても、暮らしに困るようなことはあり得ない。

やっぱり、そういうのって惹かれるものなのかな?」


意外とこの人ストレートな物言いをするんだね。

なんかちょっといやな感じ。




「そうですね。

私にはもったいないような良い条件ですよね。

でも、私は、特にお金持ちになりたいわけではありません。」


ちょっとイラっとしたせいか、私もストレートに答えた。

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