魔法使いの家

第55話

マリウスさんは、さっきおじさん達に教えられた通り、町の中を南に向かって歩いていた。




「魔法使いに会いに行くって言ったのは嘘ではなかったようだな。」


「そうですね。」




私達は、なおもマリウスさんの後をつけた。

やがて、民家や店がなくなり、あたりはだんだんと寂れた雰囲気になっていった。

さらに歩いていくと、山の麓に粗末な家が一軒ぽつんと建っているのが見えた。




「きっと、あれだ。」


私達は、木陰に身を潜めながら、マリウスさんの動向を窺った。




思った通り、マリウスさんはその家に向かって歩いていった。

マリウスさんは家に着くと、躊躇いもせず扉を叩いた。

しばらくすると、黒いローブを着た小さな老婆が家の中から出て来た。

童話に出て来る悪い魔法使いにあまりにもそっくりで、私はちょっとびっくりしてしまった。

二人はそこで何事かを話し、マリウスさんは家の中に通された。




「……行こう。」


「はい。」


私達は小走りで魔法使いの家まで向かい、フェルナンさんが窓からそっと中の様子をのぞいた。

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