第45話




「こいつは掘り出し物だ。」


一人の男が声を上げた。




私達は、お城のようなところに連れて行かれた。

だいぶ朽ちてはいるけれど、きっとここはお城だったんだと思う。

悪党たちの根城になってしまったとは、王様も浮かばれないね。




この人たちは、私達をどうするつもりなんだろう?

私のことを掘り出し物だって言ったってことは…

まさか……人身売買!?

私…貴族の慰み者とされてしまうの!?




恐怖と絶望に、目の前が暗くなった。




「こりゃあ、貴族のエロばばぁに高値で売れるぜ。」


「いや、男にも売れそうだ。

ジェロームの旦那なら、高値で買ってくれそうだ。」




(……え!?)




どうやら、『掘り出し物』は、私じゃなくてフェルナンさんみたいだ。

確かに、フェルナンさんは超イケメンだけど…




「こいつはどうする?」


「そうだなぁ…特に別嬪ってこともないし、貧相な体をしている。

残念だが、これじゃあ、高くは売れないな。」




本人を前にして、なんて失礼なことを言うんだろう。

腹は立ったけど、悪党に文句を言える程の勇気はない。




私は、心の中とは裏腹に、ただへらへらと微笑んだ。

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