第35話




「……少し休むか?」


「は、はい。」




ランダスの村を出てからが遠かった。

しばらくするとわりと広い道に出て、行き交う人とも出会うようになった。

皆、それなりに重そうな荷物を持っていたり、荷車を引いてたり…

子供でさえも、文句を言わずに歩いてる。えらいな。




途中で、馬車が追い越して行くのを見た。

でも、フェルナンさんが乗らないってことは、馬車は運賃が高いのかもしれない。




(頑張らなきゃ…!)




足だけじゃなく、腰まで痛くなって来て、思わず音をあげそうになった時、ようやくフェルナンさんが休もうかって言ってくれた。

出来れば、冷たい飲み物とちょっとしたスイーツでも食べたいところだけど、そんなものがここにあるはずがない。

ただ、道端に座るだけだけど、それだけでも疲れた体にはありがたかった。




「だいぶ疲れたみたいだな。」


「え…は、はぁ…」


嘘でも「疲れてない。」とは言えなかった。




「え?」


フェルナンさんが差し出したのは、水筒みたいなものだった。

もちろん、中身は山の湧き水だ。




「あ、ありがとうございます。」


もう温くはなってたけれど、疲れた体には染み渡った。

水筒を返すと、躊躇いもせずフェルナンさんがそれを飲む。

なんだかちょっとドキッとした。




「さぁ、もう少しだ。頑張ろう!」


「は、はいっ!」




結局、ブラッサの町に着いたのは、それから一時間以上歩いてからだった。

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