第30話

少し眠ろうと思ったのですが、神経が高ぶっているのか、まったく眠ることが出来ませんでした。

私は、最近のことを思い起こしていました。




そもそもの発端は、縁談でした。

王族の結婚は、大巫女アーリアが決める習わしです。

しかし、まさか我が国・リゴレットにそんなお話が来るとは思っていませんでした。

いえ、いつ来てもおかしくはないのですが、なぜだか来ないものと決めつけていたのです。

それは、もしかしたら、私の願望だったのかもしれません。




ですが、アーリアのご神託が下ってしまったのです。

アーリアの決定は、絶対的なものです。

それを覆すことは、神々に背くことと同じです。

我が国・リゴレットと婚姻を結ぶことになったのは、北の大国ヴァリアン王国です。

実はヴァリアンと我が国とのご縁は初めてではありません。

リゴレットの現王妃・マグダナ様はヴァリアンから嫁いで来られたお方です。

残念ながら、国王夫妻にはお子様がおられず、この国の王女は、側室の娘である私だけです。

ヴァリアン王国には、おふたりの王子がいらっしゃるということですから、私はそのどちらかと結婚することになるでしょう。

ところが、事はそう簡単には行かなかったのです。

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