side シャルア

第29話

***




「どういうことなのです?

失敗したというのですか?」


「いえ…門は輝きました。

ですから、きっとこちらに来られているのだと思いますが、おそらくはロゼッタ石の不足のせいかと…」


「ロゼッタ石が不足していたから、どうなったというのです?」


「はい、おそらくは、この世界のどこか…

本来、現れるはずではない所に来られているのではないかと思います。」


「なんですって…!?」




大変なことになってしまいました。

もしも学者の推測通りだとしたら、シャキアは、今、どこでどうなっているのやら…

彼女は、私達が呼び出した意味をまだ知らないはずですし、もしも、運悪く悪党にでも捕まってしまっていたら…

嫌な想像に、私の胸は不安で苦しくなりました。




「ロバート、とにかく、すぐに部隊を派遣し、シャキアの捜索にあたらせるのです。

くれぐれも内密に探るのですよ。」


「はい、王女様。」


シャキアの存在を世間に広めることは出来ません。

信頼出来るごくわずかの者たちに頼むしかありません。




(シャキア……どうかご無事で…)




私は、シャキアを想い、神にそっと祈りました。

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