第27話

「どうだ?あれから何か思い出したのか?」


「いえ、それが全然……」


フェルナンさんには悪いけど、まだ言えない…本当のことは。

だから、私は嘘を吐くしかなかった。




「そうか、まぁ、焦ることはない。

そのうち、思い出せるだろう。」


「あ、あの…私、ここに置いてもらってご迷惑じゃありませんか?」


「そんなこと、気にすることはない。

私もたいしたことはしてやれないのだから。」




あぁ、やっぱりフェルナンさんって良い人だなぁ…

見た目が良くて、しかも性格も良いなんて、そんなの反則です。

なんだか、私、どんどんフェルナンさんに惹かれていってるような気がする。

今の私には、フェルナンさんしか頼れる人がいないし、100%恋愛感情ではないかもしれないけど…こんなに素敵な人なんだもん、誰だって好きになるよね。



逆に、フェルナンさんはきっと私のことなんて、何とも思ってないだろうけど…

って、私も今は恋愛に現を抜かしている場合じゃない。

私がこんなところに来た理由…私の『運命』を探らないといけないのに。

でも、どうすれば良いのか、私にはその手がかりさえわからなかった。

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