第13話

(え……?)




しばらくした時、ざっざっという規則正しい音が聞こえて来て…

私の推測が正しければ、きっとそれは足音だ。

しかも、人間の。




不安と期待が一気に来た。




来た人が善人なら、私はきっと助けてもらえる。

だけど、それが悪人だったら…




不意に頭に浮かんだおぞましい想像に、私は小さく身震いした。

体が痛くて動けない今、どんなことがあろうとも、私は抵抗することも逃げることも出来ない…




恐怖に、思わず涙が流れた。




(神様…どうか、良い人が来てくれますように…!)




初詣の時くらいしか向き合うことのない神様に、この時ばかりは真剣に祈った。




足音の方になんとか顔を向けると、明かりのようなものが見えた。

懐中電灯の明るさとは違う、けっこう大きな火のようなものだ。

明かりはだんだん私の傍に近付いて来る。




「えっ!?」




声と共に足音が速まり、私の傍で止まった。

あたりが急に明るくなり、火の熱さを感じた。




今の声の様子では、それはきっと男性だ。

それも、若い男だ。




私はその人を見ようと、懸命に痛む首を動かした。

だけど、火の影になって良く見えない。

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