只今ノ季節ヲ、オ知ラセスルワ

琉生⊿

サァサァ、見テイッテ、チョウダイ

夏長すぎ。10月入ったしもうそろそろしっかり秋!って感じになっても良いんじゃない?

なんとなくSNSを眺めていたら、変わったアカウントを見つけた。


『只今ノ季節ヲ、オ知ラセスルワ』


「季節ねぇ。秋にしてくれよ秋に」


『只今ノ季節ヲ、オ知ラセスルワ』

『只今、秋ヨ。小サイ秋。チョット寒クナルワ』


まぁ、言われてみれば、8月とかと比べたら気温は低くなってるよな。


ぴゅう。


「えっ」


寒い。極寒ってわけじゃないけど、シャツ1枚じゃ割と肌寒いぐらいだ。あれ、さっきまではもう少し暑かったような……。


「この投稿を観てから、急に寒く、いや流石に偶然偶然。そもそもどこ基準なのか分からんし。無難に東京か?北海道とかはもう割と寒いらしいし、まぁ、生粋の道産子的にはまだ序の口なのかもしれないけど……。」


好奇心。アカウントをフォローした。過去の投稿を見たところ毎日更新してるわけじゃなさそうだ。主が気まぐれに投稿している感じだろうか。


そこからしばらく、気まぐれに更新される投稿を見るのが楽しみになった。なんとなく当たる気がする『それ』にどんどん虜になっていった。


秋は一瞬で過ぎ去り、冬になった。


『只今ノ季節ヲ、オ知ラセスルワ』

『只今、冬ヨ。雪ガ降ルワ』


今日は割と寒いほうだけど、降水確率が特別高いわけじゃないし、雪が降るほどじゃ……。


シン……シン……シン……シン……。


「本当に降ってきたよ。雪」


そこまで大降りってほどでもないけど、確かに雪が降ってきた。


「このアカウントの主って気象予報士とか?」


この時はまだそれぐらいの認識だった。



 ◇


季節が流れる


 ◇



ミーンミンミンミン――

暑い。8月の夏真っ盛り。汗が止まらない。


「見るまでもない。夏だよ」


隙を見つけてはそのアカウントを見に行くようになっていた。


『只今ノ季節ヲ、オ知ラセスルワ』

『只今、冬ヨ。雪ガ降ルワ』


――は?


流石にそんなことないだろ……




ッッッ

キーーーーーーーーーーーーーン





「痛っ」


耳が痛い。キーンとつんざくような音がする。いや、違うな、これは、音が、していない。無音を超えた無音。


シン シン シン シン……


「嘘、だろ……」


雪が降ってきた。こんな真夏に。さっきまで蝉がミンミン鳴いていたのが嘘みたいだ。


「本当に冬なのか?」


もう一度投稿を確認する。


『御免アソバセ。間違エチャッタワ』

『只今、夏ヨ。夏真ッ盛リ』


―――――ミン―――


ミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン


「蝉?って暑っつ!日差しが痛い。さっきまで雪が降ったてぞ、どうなってるんだ」


このアカウント、何かある。怖い。


もう見ないほうが良いな、フォローは外そう。そうしよう。えっと、あのアカウントは……。


「無い……消えてる……?」





――フフ――フフフ――チョット、間違エチャッタワ!―――ヤリ過ギタ、カシラ?―――コノ世界トハ、コノ辺デ――オサラバ、シチャウ!――バイビー!――

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