女神は神に嫌われた。

第1話 この世界に与えられし試練



この世界には「平民」「異端」「最高峰」と言う神だけが知らされし種族があった。

平民は普通の暮らしを。

異端は能力を操りとあるテストを行う。

最高峰は神相応の暮らしを。

ただ、これらの種族は自分の地位が分からぬまま、自分に合った暮らしをしていた。

生まれた時に、能力があるか無いかが分かる。

無いものは、すぐ様その事実を受け入れ、普通に暮らし始めた。

能力があると気づいた者は、その才能が目覚めた時、テストを行い、強さを争い上を目指して生きていく。

最高峰は見た目だけでは何も分からない。

分かるはずがない。

ただ、その才能が分かった時、神からの迎えが来るとされている。

この世界では、この三つの生き方が一般的だ。

そして、この物語は、能力を持って生まれた少女と、何も持って生まれずした少女。

この二人がこの世界の歴史を覆すことになる。

神は言っていた「この"少女"は最高峰でも何もない。ただの平民だ」と。

さぁ、、、この世界に、、一体何が起きたのか。

時は、琴や三味線の音が鮮やかに鳴り響く中華の町。











久々亜「、、、」



久々亜は、その夜の街を一人でに歩いていた。

その中華街は、夜でも明かりが灯、音が鳴り響き、まるでお祭りだった。

そして、久々亜が空を眺めた時、どこからともなく魔法陣が現れ、久々亜の元に手紙を降らせた。




【明日、午前零時。

異端炸裂のテストを行う。

参加者 能力者約500名の実力候補5名、

今回、華巻 久々亜 様には 実力候補の5名の一人としての参加。

場所は、中華街より少し離れた和の城。

検討を祈る。

No.2 華巻 久々亜 】


神が「異端」と呼ぶ種族は「能力者」とこの地で呼ばれ、「平民」は「農民」と呼ばれていた。

異端炸裂は、その能力者が一番の頂点を決め、世界平和に役立てるというテストだった。

だが、そのテストを受ける能力者は、世界平和など関係なく、ただ、最強の称号が欲しいという者が多いのは言うまでもない事実。






そして、久々亜はこの手紙を琴を弾いているそこらの農民に渡した。



久々亜「処分をお願いできますか?」


農民 「、、w」


流石は中華街。

喧嘩など御法度のため、農民は笑顔でその手紙を受け取り、やがて処分するのだった。



久々亜は、更に歩を進めた。


農民「やぁやぁ、、そこのあなた。良ければ、三味線弾いてくれはしないか?」


久々亜「お面ありますか?」


農民 「ああ、揃ってるよ」




久々亜は狐のお面をつけ、三味線を手に取った。

そして、華麗に弾き始めた。

周りには、着物を美しく羽織った農民が久々亜の元に集まっていた。

弾き終わると、歓声が上がった。

久々亜は弾き終わると同時にお面を外し、瞬間的に移動した。




そして、また歩を進めた。


中華街が人で賑わい、いつもお祭り騒ぎだった。

そんな中で一つだけ中華街でも音が鳴らないところがあり、、



やがて、中華街の裏道に入っていった。

そこは薄暗く、さっきと打って変わってからに、気配がガランと変わるのだった。

だけれど、一つの優しい音が、その裏道に響き渡った。

久々亜は、その場所に向かった。

ゆっくり、、ゆっくり、、

そして、やがてその場所にたどり着いた。

そこには、簪と狐のお面が地面に置いて合った。

でも、そこには誰も居なかった。

すると、久々亜の背後から声が響いた。




紅葉 「ご機嫌よう。。。」



久々亜は驚いたように後ろを向いた。

だけど、すぐさま納得したように、、




久々亜「紅葉様」





後ろからは気配は何もしなかった。

紅葉はフラリと久々亜のそばに近づきながら、ゆっくりと歩を進めた。






久々亜「どうしてこの場所に?」


紅葉 「いえ、少しお話を、」


久々亜「、、、」





久々亜は少し考え、やがてその答えを出した。

まばたきをすると、久々亜は紅葉の方に目をやり、




久々亜「異端炸裂のことでしょうか」





すると、紅葉は少し微笑んで答えた。





紅葉 「はい、、」





ここは中華街の裏道、明かりも何もなく紅葉の姿がはっきりとは見えなかった。

確実なのは、青く、ロングな髪と言うことだけ。





久々亜「何か、、、御用でも?」


紅葉 「少々、能力者がどのような能力と個体差、そして、扱い方を心得ているかを把握しておきたいと存じたく」


久々亜「、、なるほど、」


久々亜「では、、お話というのは」


紅葉 「いつもなら久々亜に情報を掴むよう頼むのですが、」




そこで、久々亜は分からなくなった。

そうだ、いつもなら異端炸裂での情報捜査は久々亜に任せる紅葉が、なぜ今回だけ「お話」と言う形で久々亜とあったのか、




紅葉 「興味深い能力者が一人居ましたので、直々に会いたいと思いましてね、」


久々亜「能力者?」


久々亜「実力候補者ですか?」


紅葉 「恐らくは、、」


久々亜「でしたら、紅葉様のお手を煩わせることなど、、」


久々亜「私が情報を取ってきてでも、、」


紅葉 「はい、、私は能力者のテストである異端炸裂に行くのはリスクがある。」


久々亜「でしたら、、!」






紅葉はそこですっと微笑んだ。

その時、風が紅葉の後ろから靡いた。

ロングの綺麗な髪が、久々亜の目の前に来た。

いい香りがした。

そして、その時、


ビュン


三味線の音が、鳴り響いたのと同時に、月明かりが紅葉を照らした。

その姿は、一瞬にして着物に変わり、狐のお面を手に持って顔に当てていた。



久々亜「、、、」




久々亜「紅葉様。一体。何をお考えですか?」





紅葉 「私には、、私のやるべきことがあります。」






そして、また



ビュン


その時、久々亜は風に煽られ目を瞑ってしまった。

そして、目をゆっくりと開くと、そこにはもう紅葉の姿は無かった。

















場は中華街。

夜、一人の姿が屋根の上より民を見下ろしていた。

その姿は、白髪で、目の色もが白色の、純白の男君。

足は少しほどしか屋根に着いていなかった。

男君は、笛をどこからともなく取り出して、とある一人の美しい平民に向けて吹いていた。

その音がなり終わったあとには、屋根には誰の姿も無くなっていた。



異端炸裂には、能力者しか参加してはならない。

農民の紅葉が参加するなど有り得ないこと。

参加出来たとしても、すぐに殺されるということ。

その場には、能力者が本気で最強に向かって道を開いている。

そんな狂った場所に、生半可な覚悟で望んでは、まず間違いなく死に至る。








農民「いや〜お嬢ちゃん、、上手だねぇ〜、」



そこには、一人の狐のお面を被ったとある少女が三味線を弾いていた。



農民「明日は能力者達は異端炸裂に出向いてて人数があまり居なくてね〜、」


農民「どうだい?!いっその事、ここで働くというのは、、」





そして、その少女は三味線を地に置き、窓辺に向かった。

そして、今宵の三日月を目にしながら、農民に振り返った。

ゆっくりと、、、


そして、、言葉を紡ぐ。





「「申し訳ございません、、」」





農民「ああ〜、、そうかい、、お嬢ちゃんがここに来れば売れると思ったんだがねぇー、、」


農民「ま、いつでも来てくれよ、、!」





そうすると、その少女はずっと微笑み、その部屋を後にした。

青いロングな髪に、青く袖の長い着物。

そして、、狐のお面。

ゆっくりと、その少女は狐のお面を外し、首に紐をかけた。

その顔は、左眼が機能していない純白となり、右眼は深く濃い藍色。

その名前は、、、「「凪水 紅葉」」と言ったのは初めての事だった。

紅葉は、農民。

決して、異端炸裂に出向くことはない存在が、、今にして、ゆっくりと、、その廊下を歩いていくのだった。






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