第6話

イケメンは藤田ふじたさんと言うらしい。茶髪はサラサラ。耳元からピアスが覗いてる。

3つ?付けすぎじゃない!

彼の配下にも派手な人はいたから驚きはしないけど。

藤田さんは高校生だよね。高校ってそんなに校則が緩いのかな。

カッターシャツも3つボタンが開いてるし。これは胸を見せびらかしてるのか。

暑いからと言うよりわざと着崩してる感じ。

なんてぼんやりと考えてたら、


「美人ちゃん発~見ん!!」


「‥‥‥!?」


私の隣に座った。

なんでっ!!

思わず帽子のつばを下げて顔を隠す。

彼のテリトリーじゃないけど敵対組織に捕まる訳にもいかない。

そばで雰囲気に触れてわかるのは彼も同じような匂いがすること。

ヤクザ?それとも…

ちょっとした不良被れじゃない匂いを感じて息をつめた。


「ねぇ、ねぇ。名前はぁ?いくつ。」


「‥‥‥」


「俺、そうっての。知ってる?」


知っている訳がない。ただのナンパ男?私、神経質になりすぎてる?


「黙んまりだね。もしかして怖い?

変な噂聞いちゃったとか。」


ちょっと!変な噂ってなに。


「‥‥‥」


リアクションの取りようがなくてひたすら黙り込んだ。

いつの間にかお喋りがやんだ車内。

私達の会話を皆が耳をダンボにして聞いてるんですけど!!

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