第11話
「真由加。鍵。」
考え込んでた私は既に自宅マンションの部屋の前。前を歩き振り向いた頼可にまた苦笑いされちゃった。
「ごめん。」
私は慌てて玄関の鍵を開けて自室に駆け込み大急ぎで部屋着に着替えた。
急いで玄関にかけ戻り頼可を中に招き入れる。律儀な頼可は私がセーラー服から着替えるまで部屋に入らない。
「お邪魔します。」
「うん。直ぐにご飯作るから待っててね。」
会話だけ聞いたらまるで恋人同士の会話。毎日繰り返されてるからもはや照れもしない。…筈なんだけど。
足を少し引き摺りながらソファーに腰掛ける頼可を見ると嬉しくて仕方ない。ずっと独りで過ごしてた時間に誰かが居てくれて。それが頼可なんて…。
お気に入りの歌をハミングしながら冷蔵庫を開けて下ごしらえしたハンバーグを取り出した。
私が料理をしてる間に頼可は課題を始めたり、編み物をしたり、テレビを見たり。
リラックスしてるから頼可も居心地が良いんだろうと勝手に決め付けてる。
やがて、
頼可と私は特製のタレをかけたハンバーグとサラダと野菜スープの夕飯を終えて頼可が先に済ませた課題の解き方を教えてくれる。
答えを教えないのはちゃんと理解して覚えろって事。頼可の優しさだと思ってる。お陰で私の成績は確実に上がった。
「頼可はいい家庭教師だね。ありがとう。」
私が笑うと
「真由加には飯や弁当作ってもらってるから当然。」
頼可は当たり前の顔で答えた。
ちなみに頼可はちゃんと私に食費を渡してくれる。受け取らないと負担をかけるから嫌だと譲らない。
私こそ教えてもらったこと覚えないと申し訳ない。
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