第10話
「悪かったな。」
謝意の欠片もないライの台詞。無表情なのがムカつく!
「あんたの面倒を見る序でに髪を切るのも言われた仕事なんだ。」
口の中が切れてるみたいで少し顔を歪めてライは言った。
「ふん!ジャガイモの手下だもんね。」
コイツもサイテーだ!何が直ぐに伸びるよっ。髪に込められてる私の思いを知らないくせに!!私は唇を噛んで髪の毛の中に座り込んだ。二年かけて伸ばして来たのに。
ライはそんな私の姿に背を向けると無言で部屋を出ていった。
パタンとドアが閉まる音に肩が跳ねた。私独りでヤクザと渡り合うなんてやっぱり無理だ。ぐしぐしと乱暴に袖口で目を擦る。
泣いたって仕方ない。髪が伸びる訳じゃない。それでもなかなか涙が止まらなくて。
「…っく。」
何度目か深く息を吸ってやっと止まったと思えば
バタン!
ノックもなくいきなり開いたドア。
床に座り込んだまままだぼんやりした目をドアに向けると足でドアを開けて右手にコーヒーとケーキを乗せたトレイ。左手に私のトートバッグと大きな手鏡を持ったライの姿があった。
「…え!?」
面倒臭くて放置したんじゃ無かったの?パチパチと瞬きすると睫毛に溜まった涙が弾けた。
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