第34話
「薫。」
薫の恋は難しい。 今まで薫が好きに為った人は誰も薫に恋愛感情を向けてくれなかったから。
少しでもそばにいたくて話し掛けて、友達に為って、親友と呼ばれて、でも彼に彼女が出来て。泣いて、苦しんで諦めて。
そんな恋の繰り返し。
男の薫に告白されてすんなり受け止める男に薫はまだ出逢えていない。現実はBL小説みたく上手くいかないから。
薫が沢山泣いてるのを私は知ってるのに。
「ごめん薫。私に恋が出来るか解んないけど、両親との約束に縛られたりしない。約束する。」
今の私に恋愛なんて考えられないけど、友達付き合いまで拒絶したりしない様にしよう。
「うん。由香は美少女なんだし、モテるんだから制限かけちゃ勿体ないよ。志仰学園にもいい人がきっといるよ。」
「あはは…。ほとんど不良だし。学校の子と付き合ったらマジでバレない様にしないとね。」
笑って言うと、薫は嬉しそうに
「そん時は僕がアリバイ作るから。由香には散々お世話になったしね。」
そう言って綺麗に笑った。
「それにさ。実際に由香が退学とかしたら、おじさんやおばさんがまたヒステリーおこすんじゃない。
二浪して県立藤ヶ丘を受け直しても合格する確証なんて無いんだしさ。」
確かに。両親は第一志望は県立藤ヶ丘を受けて滑り止めに私立高校を受けさせる気だったんだから、二浪とかまでは考えてなかった筈。
山程文句言われたけど今は落ち着いて来てるし。
「結局、由香の粘り勝ちだったんじゃん。おじさんもおばさんも由香が思い通りにならなかったから拗ねてるだけだよ。」
「拗ねてるだけねぇ。」
あの両親の反応を拗ねてるだけと言い切る薫はオオモノだ。
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