第24話

それから直ぐ担任の先生がやって来て授業が始まって、派手な美人の話を聞けたのはお昼休み。机を寄せてお弁当を食べてる時だった。


「彼女は入江初美いりえはつみ。中学生の時友達になってくれたんだ。」


「なってくれたって…」

「うん。私、友達いなかったから。」


それにしてもなってくれたって…。

まじまじと真緒を見ると、気まずそうに目を逸らせた。


「ずっと…いない人扱いで無視されてたし、話し掛けられて凄く嬉しかったから。」

なるほど、苛められてたんだ。

こんな子猫みたいな可愛いい子を。

許せないっ。


「由香、どうしたの?」

「うん、何でも無い。で。今も友達なの?あの入江さんと。」

真緒はふるふると首を振る。


「もともと、私を苛める様に仕向けたのは彼女だったの。クラスメートはそれに乗ったって言うか。

他のクラスの子がこっそり教えてくれるまで知らなくて。彼女の事信じてたからショックで。」

真緒は悲し気に瞳を揺らす。


「‥‥‥最低。」

一発殴れば良かった。人を殴った事なんて無いけど。

きっとあの女。可愛いい真緒に嫉妬したんだ。


「私のお母さんが再婚してね。

前住んでた所とは離れたこの街に引っ越して来たの。

中学のクラスメートとは連絡取ってないし。彼女がなんでこんな遠い学校に来たのかサッパリ解らないし。

さっき見てビックリしたもん。

今はお母さんと新しいお父さんと、3才年上のお兄ちゃんと4人で 暮らしてるの。もっともお兄ちゃんは土日位しか帰って来ないんだけどね。

いつもは海外赴任してる叔父さんのマンションに独り暮らししてるの。でも私とママに気を使ってちょこちょこ家に顔出してくれてるんだよ。」


「そっか、お父さんやお兄ちゃんと上手く行ってるの。」


「うん。凄く優しい。

由香みたいな美人の友達も出来たし。私今凄く幸せだよ。」

ニコニコ笑う真緒は本当に子猫みたいで、

「いゃ~ん。可愛いいっ。」

思わず抱き締めた。

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