第2話

両親は最後までこの学校に進学する事に反対した。そりゃそうだよね。

元ヤンならとも角かく。うちの両親は公務員。市役所勤めの父親と小学校の先生の母親。

本当なら志仰に楽々推薦入学出来てた筈のに、ギリギリ迄ふたりに反対されて何とか一般入試で入学を勝ち取ったのだ。

「建築家に為りたいって由香の夢は分かるけど、まず進学校に行って専門課がある大学を受けたら良いじゃない。」

どうして徒歩10分のここが駄目で電車で片道一時間掛かる進学校なの。

進みたい大学に広い推薦枠を持つここがなぜ駄目なの。

何度話しても納得行く答えは貰えなかった。

今日の入学式。案の定両親は二人共仕事で来ない。


「学校があるし、志仰学園だなんて。」

ママのその先の言葉は散々聞かされて簡単に想像がつく。


『みっともない。』

『恥ずかしい。』


パパに至っては

『不良と付き合ったら強制退学させる。』

と来た。


二つ下の弟が

『良いじゃん。姉貴がレベル落としてくれたから俺も受験、気楽だし。』

なんて喜んでくれたのが唯一の救いと言えば救いだけど。私が志仰に進学したから気楽に受験出来ると言われてもなぁ…。


「はあぁ~。」

桜も咲いて心躍る春の筈なのに私の溜め息は晴れた空に吸い込まれた。

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