第3話

「ねえ、実は敦美は舞彩が苦手とか。」

私が上目遣いで聞いたら敦美はびっくりした顔で聞いてくる。


「何でそうなるの。」

「だって、舞彩に対してなんか素っ気ない。」

「舞彩にって言うか私は誰にも素っ気ないでしょ。こう見えて人見知りだし話しかけるとか苦手。」

「あ、うん。それはわかってるけど。」

舞彩と敦美と私は同じ高校の同級生。クラスも同じだ。

舞彩は美人な社交家で友達も多い。

敦美はクールビューティーで私と舞彩位としか話さない。

私はごく普通。

話しかけたり話したり。

でも特別仲が良いのは舞彩と敦美。


「あ~でも、奈美がいなかったら私達駄目だわ。」


「へ?」


「私と舞彩って水と油じゃない。奈美って中和剤なんだよ。」

確かに2人は見た目も性格も好みも真逆だけど。

私が2人を繋いでるのかな。

そんなこと考えても見なかった。


「それは誉め言葉なわけ。」

「当たり前。他の誰にも出来ないことだよ。」


敦美は綺麗に笑った。

少しきつい目尻が下がってすごく優しい顔になる。


「いつもそうやって笑えばいいのに。」

友達増えるよと私が笑うと


「奈美がいれば十分。」

真剣な顔で言われて照れ臭くて困った。


「でも正直、舞彩は…」

敦美は珍しく言葉を選んで口ごもった。何時もは一刀両断。口数は少ないけどズバズバと自分の意見を口にするくせに。

「舞彩はなに?」

「舞彩には必要以上近寄らない方がいい。」


敦美が真っ直ぐな目で私を見た。


「うーん。舞彩の社交的な所好きだし、基本私は自分で判断したいから。」

敦美が言う事の意味がどういう意味か、イマイチわかんないんだけど。


「あんたはそういう子よね。だから信用出来るの。」

私は敦美の言葉に逆らったのに、敦美はそんな私を気にもしなかった。むしろ誉められたみたいに感じた。

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