真嶋組は大混乱

若姐さんは男と逃走中?

第1話

『若姐さ~ん!』

『どこっすかぁ!?』

『頼みますからぁ…』


『『『帰ってきて下さいっ!』』』


「‥‥‥」

何だかなぁ。

強面集団に泣きそうな顔で捜索されてる私って…。



私の名前は真嶋亜依まじまあい

関東龍聖会かんとうりゅうせいかい2強として、湯島組ゆしまぐみと並び称される真嶋組まじまぐみの若姐だったりする。


夫は真嶋秀一郎まじましゅういちろう

真嶋組の若頭様だ。

ちなみに私達はつい先日、結婚式を挙げたばかりの新婚さん。

幸せな結婚生活の真っ最中の筈なのに、何が嬉しくて嫁ぎ先から逃げなきゃならないのか。

現在地は真嶋組から然程離れていない最寄りのJR駅。目深に被ったキャップが如何にも怪しいらしくてさっきから若い男の視線がウザイ気がする。取り込み中の女に声をかけるんじゃねえよ。

ギッ!と睨み付ければスゴスゴと消えるヘタレばかりで今のところは何とか奴等から逃げ切っている。

誰から逃げてるって?

私を若姐と呼ぶ真嶋組の強面集団からだよ。まったく。一般人が怖がるから早くウチに帰れよ。でなきゃ私が動けねえじゃん。

だいたい秀一郎が全部悪いんだからね。

私は夫の端正な顔を思い出すとギリギリと歯軋りをした。


マジ、ムカつく!

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